ドイツが優秀なGKを輩出し続ける理由。鍵は「育成年代の指導の質」
2018年07月20日
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【バルセロナに所属するドイツ代表GKテア・シュテーゲン】
ドイツのGKは「ボールにアタックする」
ドイツではGKにどのような能力を身に着けさせるのか。特別なものを目指すわけではありません。GKが大事にするものは、ドイツも日本も一緒です。失点をしないこと。ビルドアップへの参加など、求められる要素はチーム戦術によりさまざまですが、やはりGKがいちばん喜びを感じるのは、チームを救うセーブ、あるいは試合を無失点に抑えることです。
それは世界中、小学生からプロまで変わりません。違いがあるとすれば、技術的、戦術的な部分。その最たる例は『アタック』の意識です。ドイツのGKは本当にアグレッシブ。GKコーチも、ボールへ向かうプレーについて、「できるだけ早く触りに行け!」「自分からアクションを起こせ!」と指導します。
たとえば、シュートをキャッチする場面を想像してください。ドイツのGKは少しでも前でボールを捕ろうとします。ボールが飛んで来るのを待つのではなく、ひじや身体を伸ばしてボールに向かって行く。身体のすぐ横に飛んできたシュートに対しても、そのまま横に腕を出すのではなく、可能な限り、斜め前に腕と身体を伸ばし、斜め前にアプローチして力強く捕る。これがボールにアタックする、ということです。
ひじを曲げたまま捕ろうとすると、手先だけの力になりますが、腕や身体を伸ばし切って前で捕りに行けば、上半身や肩からパワーが手先につながります。強いシュートにも負けません。知り合いのオランダのGKコーチは、正面のシュートが来たら、「一歩前へ踏み出しながら身体全体を伸ばし切って捕れ!」と指導するほどです。
アタックの意識が低いGKは、たとえボールに触ることができても、シュートの勢いに負けてゴールへ吸い込まれる失点や、こぼれ球を相手に詰めれられてしまう失点が多くなります。それはGKにパワーがないわけではなく、アタックして早く触る意識がないために、力強くアプローチできず、後ろに逸らしてしまうことが一因と考えられます。
1対1の状況でも同じ。できるだけ前で、早くボールに触りに行きます。たとえば1対1の場面で間合いを詰めたとき、日本では横向きに倒れて「面」で飛び込むところを、ドイツでは踏み込んだら、そのまま前向きに倒れてボールに一直線で「点」でフロントダイビングします。そうすれば、もっと早くボールに触ることができます。日本でも昔から、「斜め前に倒れろ」「シュートコースを狭めるために間合いを詰めろ」とは言われていましたが、それは角度や間合いの駆け引きに関わるディテールであり、「身体を伸ばし切ってできるだけ早く触れ」「自分からアクションを起こせ」という指導はなかったと思います。
『アタック』はより力強く、積極的にアクションを起こすドイツのGK像を表しています。クロスへの対応等も同じです。できるだけボールに早く触りに行く。ドイツや欧州のGKは、「ボールにアタックすること」を大事にしています。
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