「監督の仕事」とは何か。湘南ベルマーレ・曺貴裁監督がロシアW杯で感じた”サッカーの奥深さ”

2018年08月11日

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曺貴裁監督がロシアW杯で再認識した「監督の仕事」

(中略)
 
 スポーツって、勝てばいいというものではない。岡田武史さんも言っていますけど、勝つだけではダメだと思います。勝ったから全部いいとはならない。けれども、勝つことを放棄してしまったら競技ではないわけで、あくまでも勝つためにプレーするのが前提になります。結局のところ、勝つために努力をする。それでできなかったことができるようになり、1人で無理だったことが2人なら実現し、その結果として勝てればうれしい。それだけなんだと思います。

 自分はそう感じてやってきたのですが、世界をみるとそういうトライをしているチームがたくさんある。だから「身近」にも感じたわけですが、一方でそれじゃあ僕のキャラがなくなっちゃうじゃないかと(笑)。でも、夢中になってやる戦いを人々は見たいだろうし、その環境を作ることが監督として本当に大事な仕事なのだと再認識しました。
 
 今回の日本は、何か新しいことをやったというより「原点に帰った」と捉えています。大事なのは原点があること。そのときどきの監督がいろいろなことを求めてきて、それぞれが微妙に違っていた。今回、西野監督は日本がもともと持っていた特性に色をつけないで、「自信を持ってやれ」と送り出した気がします。

 それで勝てる自信があったのでしょう。2014年に「日本のサッカー」を打ち出して負けて、アギーレさん、ハリル(ホジッチ)さんが足りないものを足そうとした。それはワールドカップのチームにも生きていたとは思います。けれども、実は日本の選手の間での価値観はそんなにズレがなかったのではないか。つまり、表立ってはいなくても原点はすでに「あった」。それを再認識できたのがワールドカップだったのではないかと。
 
 原点、ベースというのは大事。市船(市立船橋高校)には市船の伝統があるじゃないですか。選手は最長でも3年しか在籍できなくて、毎年入れ替わっているのに伝統は変わらない。新設の高校はそれを作るのにすごく苦労しているわけで。伝統とか歴史はめちゃくちゃ大事です。湘南だって「暴れん坊」と呼ばれた文化がありますから、ただ守ってカウンターというだけでは上手くいかないんです。そうなってしまうときもありますけどね。
 
 原点だけで、俺たちこのままでいいと思ったらダメですし、学び続けなければいけない。その一方で、やはり原点があるのは大事なんです。

(※全編はフットボール批評issue21でご覧ください)

 

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