選手全員を公式戦に出場させる真の価値とは何か?【5月特集】

2018年06月01日

コラム

5月の特集テーマは「どうやって試合経験を生み出せばいいのか」である。世界の育成に目を向けるとリーグ戦が行なわれているが、なぜ日本ではトーナメントが主体なのか?一貫した指導を考えるならトップであるJリーグと同じ方式を採用するのが筋ではないだろうか。日本よりも歴史が深いサッカー先進国の多くは育成年代でもリーグ戦が取り入れられている。今回は、前回に(なぜ「レギュラー」と「控え」ができるのか? ”子どもたちの幸せを生む”育成環境を考える)引き続き、アーセナルサッカースクール市川代表の幸野健一氏に選手全員を公式戦に出場させる価値について語ってもらった。

【前編】なぜ「レギュラー」と「控え」ができるのか? ”子どもたちの幸せを生む”育成環境を考える

■第1回
出場機会をどう生み出すか。「3ピリオド制」のメリットとデメリット

■第2回
「どうやって試合経験を積むのか」。この問題は日本サッカー界全体で解決すべき課題である

■第3回
結果だけを追い求めているのは果たして選手なのか、指導者なのか、組織なのか?

取材・文●木之下潤 写真●佐藤博之、山本浩之


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交代

ただヒエラルキーを作るのではなく全体を整えて移籍もセット

――ヒエラルキーに対して蕁麻疹を起こす指導者や保護者は多いと思います。なぜでしょうか?

幸野「私は、そのことさえわかっていない指導者が多いと考えています。ヒエラルキーという言葉自体が階級社会的な観念を抱かせますが、私はサッカーの世界においてのリーグ戦はみんなが幸せになる仕組みだと思うのです。ヨーロッパでは育成年代のチームですら年間二人ぐらいはクビになります。

『えっ?』と思うかもしれませんが、『君は1年間プレーしたけど、うちに合わないから違うクラブを探した方がいい』。そう気づかせてくれるクビなんです。確かに悔しさはあるかもしれませんが、下のリーグに行ってプレーを続けたら伸びる可能性があります。なぜなら同じレベルの相手だから自分の実力をより客観視し直す機会があるからです。

 一部のチームでダメなら二部で出直し、自分のレベルが上がったのなら再び一部を目指してトライアウトを受けたらいい。自分が幸せな居場所を見つけるための肩たたきなのです。そう言われたら選手も理解できるし、それをはっきり言ってくれる存在も必要だと思います。ただ「やるなら上を目指せ」とだけ言ってスポーツをやらせるから、今回の日大アメフト問題のようなことが起こってしまうのです」

――日本だと、ヒエラルキーを作ると『下のチームに行かされた』と思う保護者がたくさんいるでしょうね。

幸野「だからこそリーグ戦という仕組みをきちんと構築して実施すれば、その誤解がなくなると思うのです。チャンスがあれば上を狙えること、レベルが合わなかったらやり直しができること、力の拮抗したリーグがレベルごとに整っていたら指導者も保護者も選手にきちんとした説明ができるのです。

 現状、自分の息子が所属しているチームがその地区で何番目ぐらいか答えられますか?例えば、市川市に50チームがあるとすると、上位4チームは簡単にチーム名を答えられますが、30番目のチームを問われると名前が出てきません。

 これはトーナメント主体の大会が多いからです。いまは30番目のチームに上位10チームでエースを張れるような選手が混在しています。でも、彼らは自分の正確な位置が見えずにプレーしています。自分がプレーできる適切なチームが本当はどこなのかもわからない。チームが弱いだけなのに、ただがんばれとだけ言われている状態です。

 どの子もレベルに応じて躊躇なく移籍できるのがリーグ戦の在り方なのです。私は子どもたち一人ひとりが自分の居場所を求めて探せるのがリーグ戦であり、その環境は幸せを生む仕組みだと思っています。

 受験の間もサッカーを続けたいと思えば躊躇なく、そういうレベルのリーグを探してその中にあるクラブに所属すればいいのです。それが『プレイヤーズ・ファースト』です。うまいけど家庭の事情で通える範囲内でしかクラブを選べない子どもだっているでしょうし、もしそういう子が自分に合うクラブを探せなかったら彼はどうやってサッカーで幸せをつかむのでしょうか?」


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