「優勝」という目標だけでは指導者としてあまりに無責任。バルサ指揮官が情熱を注いで築いた選手との信頼関係/ワーチャレ取材日記④
2018年08月27日
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2018
Jや選抜の指導者には「ワーチャレ」をもっと有効活用してほしい!
今大会は海外の名門チームと日本の町クラブが試合ごとに成長していく姿が印象的だった。アーセナルFC(ワーチャレ取材日記③)、クラブ・ティフアナ、FCパーシモン(神奈川)、大阪市ジュネッスFC(大阪)、FC大泉学園(東京)、FC Ants(熊本)といったクラブはチームとしての戦い方、攻守に渡るスタイルの質を高めていった。
例えば、バーモントカップ明けの大阪市ジュネッスFCの初戦は物足りなさを感じたが、試合ごとに選手たちが力を発揮していった。バーモントカップではポスト役のフォワード、ゲームメイク&チャンスメイク役の中盤、守備の要とビルドアップ役を兼ねるセンターバックの2枚がしっかりと味方の良さを理解した上でプレーしていたが、FC大泉学園との初戦では攻守に曖昧な判断が多かった。
初日に、清水亮監督に「少し11人制に戸惑いがあるようですが、どうですか?」と聞くと、「8月に入って8人制サッカーすら行っていないので選手たちも11人制サッカーの頭に切り替わっていないみたいです。それは私自身も切り替えが難しいので、試合ごとに調整していきます」とのコメントからもわかる。
その言葉通り、台風の影響で2日目に延期された清水エスパルス戦ではしっかりと修正力を示してくれた。
大阪市ジュネッスFCの特徴はセンターラインにある。その良さを生かすためには、いかに彼らがボールに触るかが自分たちのサッカーのカギになる。そこで、個の能力が高いJクラブの選手にまともに1対1を挑んでは自分たちにとって不利な状況を生むので、彼らは守備戦術を工夫してきた。
通常だと、ボール保持者に対して中を切って外に追い込む守り方をするが、大阪市ジュネッスFCは外を切ってボール保持者を中におびき寄せる戦術をとった。そうすることで、複数人でボール保持者を囲える。しかもセンターラインにキーマンがいるから中でボールを奪えたら、彼らがボールに触る可能性が高くなる。2011年にワールドカップで優勝した時の『なでしこジャパン』もフィジカルの強い海外チームを相手にこうした守備戦術をとっていたが、清水監督も選手たちの特徴を最大限に生かすための戦術を練り、結果的に2対1で勝利を収めた。

一方で、Jクラブと選抜チームには物足りなさがあった。
その大きな理由は、この大会を「どういうコンセプトで戦うか」がサッカーのプレーとして表現できていなかったからだ。つまり、1試合目も3試合目も同じような戦いに終始し、チームとして「どんな階段を踏んだのか」が見えなかった。
それは選手というより、指導者の責任が大きい。なぜなら指導自身がチームの成長を考えた上で具体的な目標とプランを作っていなかったのではないかと思う。単に「優勝」という目標では、選りすぐりの選手を集めたチームの指導者を務める者としてあまりに無責任。これからジュニアユースへの階段を上る選手たちに、よりサッカーのメカニズム、その中での様々な引き出しを明確に理解させて深めていくことが必要なのではないだろうか。
チームとして、どう戦うのか。それに対して各ポジションの選手にはどんなプレーを求めているのか。それは攻撃の部分にも、守備の部分にもアプローチが必要になる。そのベースとなる指導者の意向があるからこそ、選手たちが自分の色を出そうと努力ができるのではないだろうか。
率直に、私の目にはそこを「判断力」という日本人選手に足らない点だと言葉にしてごまかし、選手に責任転嫁しているように映る。
だから、チームとして成長の積み重ねがイマイチ薄いのではないだろうか。もちろんクラブ哲学があるJクラブもあるが、この4日間で5〜6試合を戦う濃密な時間はFCバルセロナのダビド・サンチェス・ドメネ監督がいうように、より選手と指導者との間に深い関係を築けるチャンスでもある。プラスに考えたら、自分の思い描くサッカーを選手に伝えられる絶好の機会だ。だからこそ能力を持ったタレントを預かるチームの指導者には、この11人制サッカーの戦い方をこの大会で生かしてほしい。
近い将来、選手個人の局面の駆け引きだけでなく、チーム全体として戦術的な駆け引きを行う中で日本チーム同士が、あわよくば海外の名門チームと戦う試合を取材したい。それが決勝戦後に沸き起こった思いだ。

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