子どもたちはサッカーを楽しんでいますか? スポーツの本質は「遊び」からしか学べない

2018年08月31日

コラム

サッカーは楽しむもの。こう言うと「きれいごとだ」と思う方もいるかもしれません。しかし、子どもは何事も楽しんで取り組んだほうが成長します。これは揺るぎのない真実です。なぜ「楽しむ」ことが必要なのでしょうか。改めて「子どもがスポーツをする意味」を考えてみましょう。

取材・文●山本浩之、写真●ジュニサカ編集部 協力●サミー株式会社


社会が狂わす“現代の子ども”をサッカーで変えるためにできること

スポーツの本質は楽しむことや遊ぶことにある

 サミー株式会社が展開する「SAMMY SOCCER PROJECT」は、小学1年生から4年生までの子どもたち、保護者、そして指導者を対象としたサッカーイベントとなっている。これまでジュニサカでは、2月と5月にMIFA Football Park(東京都江東区豊洲)で行われた「SAMMY SOCCER PROJECT フィールドプログラム」を取材してきた。このプログラムは2部構成となっており、子ども向けのサッカークリニックは元日本代表・鈴木啓太氏によるトレーニングプログラムで、ジュニサカMIPという形で参加者の中から4組の家族を紹介させていただいた。そして、もう一つのプログラムが保護者や指導者を対象としたヤングアスリートマネジメントである。

 ヤングアスリートマネジメントはスポーツコンサルタントの今野敏晃氏(株式会社グラスルーツ代表取締役)が講師をつとめた。トークの中で「私たち(日本人)は『サッカーをプレーする』と言いますが、日本語で“Play”にあたる動詞はあるでしょうか?」と大人たちに問いかけていたのが印象に残っている。

 “Play”には、遊ぶ、楽しむという意味がある。しかし日本では、そのまま“プレー”とカタカナ語を使う。日本にはスポーツを“Play”するという概念がないから言葉もないと指摘する。

 ちなみに“Sport”を英語辞典で引いてみると「娯楽」や「気晴らし」や「ふざける」とでてくる。スポーツの本質は楽しむことや遊ぶことにあるわけだ。

 スポーツの試合は“Game”と呼ばれる。ゲームも遊びと訳すことができるが、試合を意味するゲームは、ルールの中で勝敗を競って楽しむものとなろう。

 本来、スポーツ(サッカー)は缶けりなどの遊びと同じだと今野氏の話しはつづいた。缶けりのとき、プレーヤーはオニが守る缶を倒すために策を講じる。オニに捕らえられた仲間をどうやって救えばいいのかと考える。他のプレーヤー数人と一斉に攻め込んだり、わざと音を立ててオニの気を引いたり、友達と服を取り換えてオニをだましたりする。サッカーに置き換えてみると、どうやってゴールを決めるかを仲間と一緒に考える。ワンツーを使って崩したり、パスをする振りをしてドリブルで突破したり、セットプレーの決め事を相談したりといったところか。

 子どもたちはゲームで、どんどんと自分たちの考えたアイデアを仕かける。成功してゴールネットを揺らしたり缶を蹴ることができれば喜び、失敗して失点したりオニに見つけられたら悔しがる。ゲームは、遊びの楽しさやチャレンジしたいと思えるようなワクワクする気持ちを味わうことができるものなのだ。

 ところが「『あの選手のプレーには遊びがない』と言うことがありますよね」と今野氏。遊びがない――つまりチャレンジできる隙間や余裕がないのである。

 例えば自動車のハンドルには“遊び”がある。ドライバーがハンドルを動かしてもすぐに自動車の向きが変わることのないわずかな隙間(幅)を“遊び”という。このちょっとした隙間がなければ、自動車は些細なハンドル操作にも敏感に反応してしまうから、ドライバーは必要以上な緊張感でギュッとハンドルを握っていなければならない。つまり余裕のある運転をするには“遊び”が必要なのだ。

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