「部活」の在り方とは。公立中学校サッカー部の実態を探る
2018年09月25日
コラムジュニアからの進路の選択肢が Jクラブ、JFAアカデミー、町クラブ、私立中学校とあるなか、公立中学校サッカー部はどのような考えで子どもたちの育成にあたっているのか。東京都中体連サッカー専門部に考えや取り組みを聞いた。
取材・文●木之下潤 写真●ジュニサカ編集部、Getty Images
『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.48』より一部転載

【東京都中学校体育連盟 サッカー部 競技部 部長 艸川幸治氏(写真左)、東京都中学校体育連盟 サッカー部 部長 金子哲郎氏(中央)、東京都中学校体育連盟 サッカー部 技術部 部長 関口剛史氏(写真右)】
東京都中体連が考える公立の立ち位置とは
――今回、多様化している時代の中で「公立中学校サッカー部としては選手のためにどんな取り組みをしているのか」を知りたく、取材を申し込みました。そもそも「東京都中体連サッカー専門部」として、自分たちの立ち位置をどのように考えているのか。まずは率直な意見を伺えたらと思います。
金子「サッカー選手としての育成面を考えたらJクラブ、JFAアカデミー、町クラブ、私立中学校と比べたら技能的に恵まれた選手が多いわけではありません。個人的には能力のある選手は 上のレベルでプレーすべきだと思います。もちろん中体連の子たちの中にも埋もれているタレントはいますが、サッカーを楽しくやりたいという子もいますから、公立中学校でサッカーをする子どもたちは様々です。部活を楽しみにしている子もいますから」
艸川「公立中学のサッカー部には初心者もいたりして、1年生の頃は寄せ集めに近い状態からスタートします。『どんな選手を育成するのか』と問われたら『サッカーの本質を教え、サッカーが楽しいスポーツだということを知っている選手を育成する』のが私たちの役割なのかな、と。勝ち負けよりも、そちらの方が求められています」
――公立中学でサッカーをするにあたり、顧問の先生のサッカー経験や毎日の練習の常駐問題が選手や保護者にとっては気になるところです。
金子「実は、公立中学は若い教師が増えています。彼らは意欲と情熱に溢れています。だから、中体連サッカー専門部としては指導者ライセンスの取得をしてもらえるように促しています。 昨今は暴力根絶に向けた動きが活発ですし、ライセンス講習会ではそういう内容もあるため、若手の教育という点でも意味があると感じています」
艸川「私は体育教師をしていますが、会議等で練習に顔を出せない時もあります。その時は昼休みに練習メニューを主将と副主将に渡してポイントと注意点を伝え、練習は選手たちに任せています。練習後にミーティングを行うのですが、そこは選手たちだけです。主将と副主将を中心に自分たちで振り返り、最後は全員がみんなの前で今日の練習に関する自分たちの考えを報告し合います。私がいるいないで練習の質に違いはあるでしょうが、自分たち自身が意識してプレーの向上を図るようなキッカケ作りはしています」
金子「よく保護者には、こんな伝え方をします。黒板に教育の『教』を小さく『育』を大きく書いて話をするんです。『子どもたちには小さく教えて大きく育てる』と。なんでもかんでも教えこんだら選手たちの実力が伸びるかといえば、それは違います」
――その通りです。ただ、サッカー選手を育てる面でいえば、指導者の常駐の有無は大きな部分で、公立中学校であれば町クラブと比べられます。
金子「公立中学校のメリットは授業後にすぐ練習ができること、場所が確保されていることが大きなところです。成長期を迎える中学生にとっては生活のリズムは大切です。18時過ぎには帰宅の途に着くし、夕食をとって塾などに通える時間も作れます。生活のリズムが夜型になり、結果として授業中に居眠りをしても本末転倒です」
関口「技術部としての立場で答えたら、中体連には選抜活動があります。いわゆる中学校の能力のある選手を集めて中体連選抜として練習、試合を行っています。東京都を5ブロックに分け、各地域で2・3年生を中心にフィールド20〜25名、GK3〜4名選びます。セレクションは年度始めに行い、1年間の指導を保証しています。顧問がサッカー未経験で、いい選手がいる場合は指導が受けられません。そういう選手でもセレクションに合格すればサッカー指導の機会が得られます」
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
なでしこジャパン(日本女子代表)メンバー発表!【MS&ADカップ2025】2025.11.19
-
【エリートプログラム女子U-13日韓交流】参加メンバー発表!2025.11.19
-
【2025ナショナルトレセンU-14後期】参加メンバー発表!2025.11.18
-
【U-15日本女子選抜トレーニングキャンプ】参加メンバー発表!2025.11.13
フットボール最新ニュース
-
アーセナルが直接対決を制しCL首位浮上【26日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
バルセロナがチェルシーに完敗【25日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
上田綺世が先制ゴールもチームは敗戦【27日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
バルセロナ、終始リードを許す展開で辛くもドロー【5日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
サッカー日本代表初招集MFが先発で勝利に貢献【6日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- 「JFAフットボールフューチャープログラム トレセン研修会U-12」2018年度の参加メンバー768名を発表!
- “早熟タイプ”か“晩熟タイプ”か。成長のピークはいつ訪れる? 子どものタイプを知ろう!!
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- 【JFAエリートプログラムU-13日韓交流戦】参加メンバー発表!
- アグレッシブな守備を見せた しおやFCヴィガスが優勝を飾る!/バーモントカップ 第27回全日本少年フットサル大会
- 【静岡市長杯第40回清水チャンピオンズカップ少年サッカー大会】表彰
- 「2013年度 ナショナルトレセンU-12 関東(第1回)」の開催要項および参加メンバー発表
- 4種(小学生年代)を支える町クラブの存在意義とは? サッカーが日本の文化となるために改めて考えなおしたいこと
- FC岐阜、6/4長崎戦で「虫の日まつり」を開催!
- RENUOVENS OGASA FC ジュニアが悲願の初優勝!! 岩手県代表の座に輝く/第40回全日本少年サッカー大会 岩手県大会














