チームをどうオーガナイズするのか。指導者が考えるべき「環境設定」/指導者座談会3【9月特集】
2018年09月26日
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指導者が年間スケジュールと指導計画を立てることが重要
南里「情報を活用して自分なりに体系化すれば、いろんなことが整理されていくと思います。少し話は戻るのですが、年間スケジュールを組んでいる指導者もほぼいないと思います。チームとしてどこにピークを持っていくのか、そういうところをスケジューリングから考える必要があるはずです。私は半年スパンでスケジュールをすでに決めています。
そうしなければ年間どのくらいの練習があって、どこにフィジカルトレーニングを持ってきてというふうに割り出していかないとチームは構築できません。そこから『どの大会が重要で、どこにどんな大会を組み込めばいいのか』が見えてきますから。それがわからないと招待試合も参加か不参加かが判断できない!
どうしても指導者たちは目先の活動に追われ、他のカテゴリーも見なければいけない現状があって判断が難しくなっていきます。でも、だいたい自分たちが出場する大会は年間で大まかに決まっているわけです。だから、指導者がそこから改革していかないと、招待試合に呼ばれたら『はい、行きます』とついついなってしまいます。
でも、本当に子どもたちのためを考えたら『行くべきなのか、休息を取るべきなのか』という判断をしなければなりませんが、年間スケジュールを立てていないので客観視ができていません。ただ量をこなすだけで、子どもを身体的にも精神的にも疲弊させる結果になるかもしれません。
それが小学校の間は活動量が多いのに、中学生になると一気に活動量が減ってしまう原因になっているし、選手にも保護者にも正常な活動量を誤解させる要因になっています。だから、『小学生の時が一番楽しかった』みたいな幻想を抱く保護者が多いんです。一刻も早く、トップのJリーグからジュニアまで統一したリーグ戦かと統一したレギュレーションにしてほしい!
夏になると、サッカーだけじゃなくて他のスポーツも合宿して朝早くから夕方まで何時間も練習するようなことになるわけです。保護者世代もそれをやってきているからそれが当たり前だし、結局そこから脱却できません。
昨年は夏に2週間休ませたら最初はクレームが来たりしていました。今は減ってきましたが、それは普段から子どもの成長を保護者にも常に見せているからです。5年生以下は10日間オフをとって、その直後に活動量の多いチームとトレーニングマッチをしましたが、勝つこともできました。
結局、そこは一週間で体力的なコンディショニングとうちは選手のゲームに対する知識があるので、そのトレーニングマッチでは試合に対する強度が明らかにうちが高かった。まさに普段からの取り組み方が大事だなと思い直しました。そこには年間スケジュールを立てて、チーム作りを計画的にやっている裏付けがあるからです。
実は、東京でチームを率いていた時は練習量をやりすぎていて、たまに疲労骨折をしてしまうような子も出ていました。でも、アーセナルに入ってからはコンディション不良によるケガ人はいない状況です。5年生以下は、土日どちらかを休むようにしています。
そうすると、次の月曜日か火曜日かの練習の時にはフレッシュな状態でピッチに立って、サッカーに飢えています。『早くサッカーをやりたい』という状態で練習に取り組んでいるから集中力とプレーの強度がすごく上がります。試合数をコントロールして『この1試合しかない』という状況を作り出し、子どもが目の前の試合に集中してパワーを注ぎ込むようなサイクルづくりを行っています」
木之下「現実的な話、うちの町クラブでは活動時間が2時間半もあります。私はそれを縮めたくて、戦術ボードを用意しました。練習と練習の合間に説明する時間を少しでも増やすことで活動時間を減らしたかったことが理由です。もちろん、その一方で説明が増えると子どもがダレるデメリットもあります。でも、それ以上に今夏の暑さは異常でしたし、彼らの肉体を恐ろしいぐらい疲弊させるものでした。 ようするに、戦術ボードを使って日陰で説明することによって体への負担を減らしたかった 。あえて意図してやりましたが、おかげで頭へのアプローチが増やせました」
末本「活動時間を減らすことはできないんですか?」
木之下「正直、代表と保護者との今の関係があるから、私が横から割り込んでドラスティックに変えるようなことは非現実的ですし、今は変えることができません。例えば、来年も契約していただけるならば15分ずつ毎年削り、結果的に2時間に減らしてトレーニングの時間を実質90分にまでは持っていけたらとは考えています。ただ、今はやれる範囲の中でやっているということです」
高橋「小嶋さんのクラブは練習の時間についてはどうですか?」
小嶋「うちは2時間です。低学年については90分ですが、基本は2時間です」
高橋「それはグラウンドの関係もあるんですか?」
小嶋「そうですね」
末本「大豆戸FCでは幼児が50分、1・2年生が70分、3・4年生が80分、5・6年生が90分で、平日の練習は週2回です。あとはグラウンドの問題があるので1時間しかできない場合もありますし、人工芝でのトレーニングは月2回しかできません。幸いにも昔から比較的に短い時間でしか練習ができない環境でしたので『短い時間でいかに効率的に強度の高い練習をしようか』というアプローチが当たり前でした。
アーセナルさんと似ていますが、私たちのクラブでは次のトレーニングで目指しているプレーのお手本となる動画などを送って選手とシェアするようにしています。子どもたちに『昨日送ったあのプレーのように』と言えば、すぐ頭に浮かんできますので、練習もスムーズになります。選手も保護者も時間が短いという感覚はないと思います。練習終わりの子どもたちからの『もう終わり?!』という言葉が私たち指導者にとっては最高の褒め言葉だと思っています」
南里「アーセナルでは週末の練習試合の時間は2時間しかとりません。だから、U-12だと2試合分しかできない設定にしています。うちは選手もジュニアは各カテゴリーにMAX16名しかいませんし、2チーム分で2時間だったらだいたい一人1試合分の計算になります。
さらに試合の強度を上げるため、気候により3年生以上は25分ハーフにしています。25分を4本にすると、最初はプレッシャーに行けても時間が経つとに疲労が蓄積するので動きが鈍くなり、当然そこからは駆け引きが発生します。すると、選手が疲れてきたら指導者も手を打たなければならなくなります。
本来、集中した試合をしたいなら3年生は15分で十分ですが、私たちは強度にこだわっているため、そういう方向に変えています。例えば、チームに人数を抱えていて量をこなさなければいけないチームは2時間では足りませんが、私たちは所属人数もMAX16名というスタンスを貫いていますし、だからこそ試合時間もそういう設定にしています。強度がなければ意味がありませんから。
それにジュニアユースになったら1日1試合しか戦わないわけです。だから、それ以上のレギュレーションで試合をする場合はチームの責任だし、指導者の責任だからということは明確に伝えています。『私たちは未来の選手を育成しているわけだから』『一試合にパワーを出せる選手たちを育てなければならないから』と伝えています。
でも正直、5・6年生は90分間トレーニングしたいなという気持ちもあります。そうなったら『もう少し余裕を持ってやれるかな』、と。それは時間に追われて自分がイライラする時もありますから。ただ、うちは週3回のトレーニングなので、そこは2回のチームとは条件が違うのかなと思います」
※第4回は9月28日(金)掲載予定です。
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