指導の質を高めるには常に考えを他人にさらす必要がある。その勇気が育成指導者には問われる
2018年10月08日
未分類講習会で学ぶべきはスタンダードのサッカーの部分
ライセンス講習会とは、その国におけるサッカーへの共通理解を助長する役割も果たす。サッカーは多様的で自由なものだ。いろんな取り組み方ができる。特に日本という国は立地条件の特殊性からも様々な国へ興味を示し、いろんなアプローチをしている。
・ブラジル
・アルゼンチン
・ドイツ
・イタリア
・スペイン
・フランス
・オランダ
・ベルギー
・イングランド
・メキシコ…etc
参考にできる国を挙げたらどんどん出てくる。最近では、アイスランドやクロアチアも入ってくるだろうか。それぞれのやり方を、本当にそのまま取り入れて独自性を貫き、例えば地域ごとにその特徴が色濃くなり、それぞれがぶつかり合うのであれば、日本の中で世界サッカーの縮図が見られるというすごくおもしろい現象が起こる…。
そうなればいいのだが、現状は様々な国のサッカーを研究してあれもこれもと手を出した結果、それぞれの国が発展してきた背景を無視して表面的に良さ気なものだけを取り入れ、なんだか継ぎ接ぎ状態になってしまってはいないだろうか。それでたどり着いた先が「ジャパンズ・ウェイ」。どこからどこまでがオリジナルなものなのか。現在はわからない。いろんな意味で、日本風な道の歩き方だ。となると個人的に思うのは、サッカー講習会などで学ぶべきはどの国でもどの地域でも共通言語としてあるワールドスタンダードのサッカーの部分ではないだろうか。
1対1を激しくとか、パススピードを速くとか、運動量を多くとか、切り替えを早くとか、正しいポジショニングを学ぶとか…。そうしたサッカーのメカニズムを知ることは別にトレンドでもなんでもなく、いわば常識の範疇だ。それは「どこで、どんな指導者のもとでプレーしよう」ともブレてはいけない当たり前のことだ。「ドリブルサッカーをやり通したけど、次のステージではそれができる場所がないからダメだ」というのは本末転倒なサッカーの捉え方であり、ドリブルを強調したサッカーをやっていたとしても、パスの受け手と出し手のコミュニケーションはなければならないし、守備のポジショニングからスライドの仕方はわかっていなければならない。
「どんなサッカーを指向しようとも、これだけは忘れずに大事にしましょう」。
そういう基本を徹底する。そのベースのところさえブレなければ、後はそれぞれの好みでどんどん海外のサッカーをマネてもいいし、独自路線を突っ走ろうとも構わない。極端な話、元プロ選手で様々なコネクションを持っている人物であれば独自にいろんな指導者のところへ弟子入りし、ライセンス講習会で学ぶ以上の知識を仕入れ、経験を積むことだって十分可能だ。
例えばの話だが、日本でS級ライセンス講習会を受講するよりも、ペップ・グアルディオラのもとで1年間研修を受け、毎日密着していろんな話を直で受けられるのであれば、どちらが指導者としてプラスに働くのかは圧倒的に後者だろう。それでもライセンスは必要なのか?
あるいはCLに何年も出場している選手の経験は間違いなく別格だ。そうした場で戦ってきた選手の持つ立ち振る舞いから学ぶことはとても多い。私自身も体験がある。A級ライセンス講習会で元ドイツ代表FWトーマス・ブルダリッチと一緒だったが、講習中の指導実践で彼から「キチ、お前は技術があってスピードがある。勇気をもって挑戦していけ!」と声をかけられた時はすごくうれしかったし、気合いが入った。実際にその後の自分のプレーはとても躍動感があったと思う。プロまで上り詰めた選手時代の経験がマイナスになるなんてことはない。
でも、「だからライセンスはいらない」というのはまた別問題だ。
むしろその経験の活かし方を学ぶための場として、ライセンス講習会は機能しなければならないし、選手サイドからも「そのすごい体験をライセンス講習会に還元してほしい」と思う。S級ライセンス講習会がそうした情報を出し合う場になってきたら、相乗効果ですごいディスカッションも生まれるのではないだろうか。実際にドイツをはじめとするサッカー強国では、様々な立場からのディスカッションによる効果が大きく出てきている。プロだから、アマだから、大人のサッカーだから、育成サッカーだからなんて小さい話をしている場合ではないのだ。そもそも、そういう場で自身のサッカー哲学を他の指導者に認めさせることができない人が、指導現場でどうやって伝えていくことができるのか?
持っている情報を隠しても、そこまでメリットはない。
それよりもその情報を公開して、相手に意見をもらって、さらに磨き上げていく方が間違いなくプラスになる。「ライセンスは不必要」にするのではなく、ライセンスを取るために学ぶ場を必要性の高いものに自分たちが築き上げていく方がおもしろいではないか。現在のライセンス制度の在り方、将来への取り組み方、全国のネットワークのつながり方。改善点はまだまだたくさんあるだろう。
だが、本来それはいいことなのだ。反省して、分析して、作り替えていけばいいだけだ。どの国もそうしている。ドイツを例に取れば、毎年のようにライセンス講習会の内容はブラッシュアップされている。他の国もそうだろう。日本でそれができていないのであれば、できるような空気感を作り上げていかなければならない。それが協会の仕事だと思う。もちろん、難しいのは承知している。でも「だからやらない」のではなく、「だからやらないといけない」。
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