地方クラブの現状を探る。今、何が問題になっているのか?
2018年10月11日
未分類
サッカー進路の選択肢がほぼ「部活」だけ
――福井県内のサッカー進路の話をしていきたいと思います。大虫の選手のサッカー進路はどうなるんですか?
「地元の中学校の部活動に入るか、(越前市を中心に活動している)武生FCのジュニアユースに入るか、隣の鯖江市にパトリアーレSABAEというジュニアユースが3年程前に設立されたので、そこには一昨年の卒団生が1人入団しました。あとは車で1時間半ぐらいかかりますが、福井県の強豪の坂井フェニックス(丸岡FC)に入団するかです。でも、ほとんどの選手は地元の中学校の部活動を選択します」
――例えば、東京都などではたくさんジュニアユースチームが存在するので自分のレベルにあった進路を選ぶことができます。そしてセレクションがあります。そもそも福井県のジュニアユースにセレクションはあるんですか?
「福井県の強豪の坂井フェニックスだけがセレクションを実施しています。あとのジュニアユースはありません。福井県内で少し抜けた能力を持っている選手が坂井フェニックスに入団する、そのような流れが今、福井県にはあります。大虫の去年のエースも坂井フェニックス入団しました」
――ジュニアユースチームの設立は今のところどう考えていますか?
「本当は大虫の卒団生の受け皿としてジュニアユースを作りたいです。でも、難しい問題があります。グラウンドの問題もありますが、3種のリーグ戦が4部からのスタートになることが問題です。そうなると1部に昇格するために3年間…犠牲になることになります。新チームを設立して、どんなに能力がある選手が揃っていたとしても4部からのスタートになります。そこは今、ジュニアユースを設立する上で抱えている悩みでもあります。でも作らないと、サッカー進路の選択肢が少ないので犠牲になる選手がさらに増えてきます。『中学校のクラブが少なくて行くところがない』、と。本当はジュニアユースのサッカーも指導していきたいんですが、ジュニアチームが手薄になるのもまた問題ですし、本当に今、困っています。行き場のない選手が多いので…」
――大虫の選手のサッカー進路は基本的に地元の中学校の部活動かクラブチーム(武生FC・パトリアーレSABAE)の3つ…。坂井フェニックスもありますが、移動の問題もあるので、難しいですね。福井県のクラブチームには能力がある選手、つまり限られた選手だけが入団していく流れがあるので、ほとんどの選手は部活しか選択肢がありません。それが今の現状ですね。中学校の部活動は最初の1年間、2年生の秋頃の新人戦までは基本的に試合がありませんよね。ボール拾いとか、グラウンドの隅っこでコーンドリブルをしたり、外周を走らされたりとか、そんな印象があります。
「そうですよね。その問題もあります…」
――話は変わるんですけど、大虫の選手が京都サンガのセレクションを受けたと聞いたのですが、その話は本当ですか?
「去年の大虫のエースの兄は昔、京都サンガのセレクションを受けて合格しています。3年間ジュニアユースで活動して京都の高校に進学しました。弟も去年の大虫のエースで京都サンガのセレクションの4次選考会まで行きました。『絶対受かる』と確信していたんですけど、最終的に落ちてしまいました。本気でサッカー選手になる意気込みでセレクションを受けていたので、残念です」
――京都サンガのセレクションを受ける傾向は少なからず、福井県にはあるみたいですね。サッカー進路の選択肢が少ない問題はどうにかして解決できないですかね…。そもそも福井県内のジュニアユースのクラブチーム自体が10チーム程しか存在しません。
「非常に少ないです。本当に可哀そうで仕方ないです。もっとたくさんのジュニアユースチームが選択肢としてあるのが理想的なのですが…。大虫のジュニアユースも作りたいのですが、さっき言ったようにグラウンドの問題や3種のリーグ戦が4部スタートになる問題もあります。コーチの人数も今の倍ほど必要になってきます」
――この問題の解決は難しいですね。
「難しいです。いつかはジュニアユースを設立したいのですが、今のジュニアチームの基盤をしっかりさせてからです。『大虫のジュニアユースに入団すればサッカー人生間違いなくいいものになる』そう思ってくれるようなクラブを目指しています。それが今の目標でもあります。今、50歳ですけど、あと10年ぐらいはかかりそうです。でも絶対にやってやりますよ!
あとは、下の学年から底上げしていきたいです。今、横浜F・マリノスにいる久保建英選手は少年時代から凄い選手と騒がれていました。そのような逸材は日本全体を見渡せば絶対にいます。でも発見できていないだけだと思います。そういった選手は福井県内にもいます。ただサッカーに巡り合えていないだけで。
これからはそういった選手を発掘できるような環境にしていきたいです。都会は人口が多く優秀な指導者も多いので、網に引っ掛かるかもしれませんが、でも、地方は指導者が少ないので、網に引っ掛かかりません。そういった原石を発見できる環境を作ることも今の私の目標でもあります。日本サッカー界の発展のために、これからも頑張っていきたいです」
【前編】地方クラブの今――。”県内3冠”の町クラブ指導者が考える「チームの育て方」
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