地方クラブの今――。”県内3冠”の町クラブ指導者が考える「チームの育て方」
2018年10月09日
未分類9月特集(改めて考えたい「4種年代」の問題点)では関東在住の指導者同士で座談会を実施し、ジュニア年代の問題点を挙げていった。だが、地方クラブに目を向けてみると、また違った課題が浮かびあがってくる。そこで今回は福井県越前市を中心に活動している大虫フットボールクラブの代表・山崎誠氏に「地方クラブの現状・在り方」をテーマに取材を敢行。山崎氏の言葉から地方クラブの”今”が見えてきた。
【後編】地方クラブの現状を探る。今、何が問題になっているのか?
取材・文●中澤捺生 写真●中澤捺生
チーム戦術を低学年から高学年まで統一している
――まずは大虫フットボールクラブについて詳しく教えてください。
「大虫フットボールクラブ(以下、大虫)は福井県越前市を中心に活動しています。大虫地区をサッカーの町にしようということで、約25年前に発足しました。昔は負けてばかりでしたが、少しずつチームを強化していき、昨年はU-12・U-11・U-10の各カテゴリーで県大会を制し、U-12は鹿児島で開催された全日本少年サッカー大会に初めて出場しました」
――チームは1年生~6年生で活動しているのですか?
「大虫は園児から入団することができます。私が大虫の監督を始めてから園児からでも入団できるようにしました。昔は大虫小学校の選手が中心のチームでしたが、県大会で何度も上位に入るチームに成長していったことで、大虫地区だけでなく地区外からも入団してくる選手が増えました」
――今年から大虫サッカースポーツ少年団(大虫SSS)から大虫フットボールクラブ(大虫FC)にチーム名を変更しましたが、これにはどのような意図があったのでしょうか?
「大虫サッカースポーツ少年団だと、”大虫小学校の選手だけしか入団できない”というイメージがあるので、大虫小学校の選手だけでなく幅広い地区から選手が入団できるように、今年の4月から大虫サッカースポーツ少年団から大虫フットボールクラブへとチーム名を変更しました。チーム名が変わったからといって指導の軸は変わりません」
――クラブのコンセプト、指導のコンセプトを教えてください。
「大虫は『パスサッカー』が戦術のコンセプトです。対戦したチームの親子が県大会決勝戦の応援にきてくれて、『こんなサッカーをするなら大虫に入れてあげてあげたい』そう感じた保護者の方が子どもを大虫に入団させた、そんな例もあります。今、U-12のエースは元々福井出身の選手なんですが、埼玉県に住んでいて仕事の転勤でまた福井に帰ってきました。(越前市内の)サッカー少年団、すべての練習に参加し、体験したみたいですが、『大虫が一番まじめにトレーニングをしている』ということで入団を決意してくれたみたいです」
――今、練習をみていると3つのグループに分かれて練習をしています。
「大虫はA(5・6年生)・B(3・4年生)・C(3年生以下)というカテゴリーに分けて選手を指導しています。地方クラブならではかもしれませんが指導者が少ないこともあり、低学年の選手は『ほったらかし』にしているチームも数多く見受けられます。4年生の選手権になってまともな指導を始める、そんなケースがあります。でも、大虫はそんなことはしません。幼稚園児から小学6年生まで一人ひとりをしっかり見るようにしています」
――去年はU-12、U-11、U-10と“3冠”を獲得しましたが、その要因はなんだと思いますか?
「大虫FCは低学年から高学年まで統一された戦術を採っています。その戦術は企業秘密ですが(笑)。その戦術を試合で生かすためには、基本技術がしっかりしていないといけません。チーム戦術を発揮できるように、3年生までにやらなければいけないことをトレーニングで選手に落とし込んでいます。6年生にもなれば、チーム戦術の答えが分かってくるので試合の中でチーム戦術を発揮できるようになります」
――大虫のサッカーは低学年から高学年のチームまで戦術が共通されているということですね。それはしっかりと指導者がチームの戦術を理解したうえでトレーニングを積み上げているからではないでしょうか?
「その通りです。私が数年ほど前にチーム戦術を1本化させました。もちろん各学年によってコーチ陣は異なるので各指導者のアレンジは多少ありますが、基本的な戦術は統一されています。戦術を統一しないとチームのレベルは上がっていかないと、私は感じています」
【大虫フットボールクラブ代表・山崎誠氏】
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