育成年代における「プレーモデル」「グループ戦術」「個人戦術」の重要性
2018年10月15日
サッカー練習メニュー「チーム」の中には「ユニット」が存在する
図9はスペインで採用されている7人制サッカーの1-3-2-1における例です。ここでは、2、4、6の3人のグループが、サイドチェンジのアクションに関わっています。この中で2と6、4と6のユニットでは、ポジションニングにおいて十分な「幅」が取れた状態にありますので、結果的にグループでボールをピッチの横幅全体で動かすことが可能となります。
それぞれのユニットが集まることでチームのアクションがコーディネートされたものとなっています。このような個人戦術とチーム戦術の関連を考慮せずに、いきなり3人でサイドチェンジをするために「サイドチェンジを使って攻撃しよう」と言っても、選手は適正なポジショニングを理解することができません。
※クリックで画像を拡大することができます。
6の選手は横幅のポジショニングにおいて、相手FWや中盤の選手が守りにくい十分な距離を4との関係を考えながら取らなければいけません。不用意にボール保持者である4へと寄っていくと、相手の守るスペースが狭くなりますから、相手の守備がしやすくなります。
また、2は6との関係を考えてポジションを取ります。2のようにサイドでプレーする選手はタッチラインという幅の目安があるので、比較的横幅が取りやすくなります。
しかし、大事なことは適切な高さが取れるかという点です。サイドチェンジをした後の攻撃の前進まで考慮した場合、前方のスペースへと入っていくための「深さ」の調整が必要となってくるのです。
このようにして3人でのグループアクションも、2人の関係が組み合わさることで機能しているのです。別の2人組を見てみると、2と9、 10と9というような縦の関係が絡んでくれば「攻撃の前進」の要素を見出すことができ、より広いセクターのコーディネートを考えられます。
基本的に、個人は隣の選手や前後の選手と一緒にプレーをしているという考え方を持つべきです。「チーム」の中には「ユニット」が存在し、ユニットの中には隣の選手や前の選手との関係を考えながらプレーする「個人」が存在するという構造です。
11人全体で見た時も同様で、個人(2人組)をベースとしたユニットが機能することで組織的なチームでのアクションが機能することになるのです。年代が上がり、中学生からプロの年代になればグループとして機能することに着目します。
トレーニングもそのような形態で行われます。しかし、それがしっかりと機能するためには、低年齢(小学生年代)でチーム/グループの内部にある機能性の構造を理解し、2人のユニットで機能させるべき個人戦術を身につける必要があります。
また、年代が上のカテゴリーでも指導者としてはチームがどのようにプレーするのか(プレーモデルの指針)という視点から、個人戦術や役割を修正することが必要です。もちろん、選手は一定の状況下において「今、誰と関係を持ってプレーしているのか?」を常に理解しながらプレーすることが必要です。
坪井健太郎(つぼい けんたろう) CEエウロパユース第二監督
1982年、静岡県生まれ。静岡学園卒業後、指導者の道へ進む。安芸FCや清水エスパルスの普及部で指導経験を積み、2008年にスペインへ渡る。バルセロナのCEエウロパやUEコルネジャで育成年代のカテゴリーでコーチを務め、2012年には『PreSoccerTeam』を創設し、マネージャーとしてグローバルなサッカー指導者の育成を目的にバルセロナへのサッカー指導者留学プログラムを展開中。また、森亮太氏と共著で『誰にでもわかる サッカー説明書 ~スペインサッカーを日本語に具現化~』を電子書籍出版。著書に『サッカー 新しい攻撃の教科書』、『サッカー 新しい守備の教科書』(小社刊)がある。
【商品名】サッカー新しい攻撃の教科書
【価格】1,728円(税込)
【著者】坪井健太郎
【構成】小澤一郎
戦術大国スペインから学ぶ“攻撃”の最新メソッド!「カウンターアタック」と「組織的攻撃」2つの攻撃戦術を正確に理解する!!
スペインで体系化された理論をもとに、現地スペインで指導をする坪井健太郎氏が、原理原則からトレーニングの応用方法までわかりやすく解説。多様化した戦術を構成する攻撃の原理原則を深く知ることが、日本サッカーを大きく変える!
<本書はこんな方にオススメ!!>
●論理的にサッカーを理解できるようになりたい。
●自分の指導しているチームで攻撃のパフォーマンスを引き上げたい。
●選手としてもっと上手くなりたい。
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
>>ジュニサカ公式Instagramはこちら
>>ジュニサカ公式Youtubeチャンネルはこちら
>>ジュニサカオンラインショップはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
【FIFA U-17ワールドカップ カタール2025】U-17日本代表メンバー発表!2025.10.18
-
U-19日本女子代表候補 、国内トレーニングキャンプ参加メンバー発表!2025.10.17
-
なでしこジャパン(日本女子代表)、欧州での国際親善試合に臨むメンバー発表!2025.10.16
-
フットサル日本代表、国際親善試合(vsフットサルブラジル代表)に臨むメンバー発表!2025.10.08
フットボール最新ニュース
-
日本人選手所属ザルツブルクは後半AT弾で敗戦【25日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
ベティス、マンUから完全移籍の7番が劇的同点弾【24日結果まとめ/欧州EL】2024.05.21
-
バルセロナ、マンUから加入FWの活躍で強豪撃破【18日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
昨季王者PSGが4発快勝。白星スタート【17日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
-
アーセナルは交代策的中で白星【16日結果まとめ/欧州CL】2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 【FIFA U-17ワールドカップ カタール2025】U-17日本代表メンバー発表!
- 関東トレセン女子U-15(前期) が開催!
- U-19日本女子代表候補 、国内トレーニングキャンプ参加メンバー発表!
- ゴールを決めるためにはコースが大事!! 正確なシュートを打つために参考にしたい練習動画
- フットサル日本代表、国際親善試合(vsフットサルブラジル代表)に臨むメンバー発表!
- 8人制にインサイドハーフ型の「1-3-1-2-1」はどうか?アトレティコU-11が実践した考えるサッカー
- 練習中にふざける高学年
- 「2013年度 ナショナルトレセンU-12 東海(第1回)」の開催要項および参加メンバーを発表
- ヴェルフェたかはら那須U-12が栃木県大会を連覇! 苦しい戦いの中つかんだタイトル/第40回全日本少年サッカー大会 栃木県大会