なぜ「量より質」の練習が良いのか?高校サッカー界の革新者が考える3つの理由

2018年10月20日

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「選手主体のボトムアップ理論」を用い広島観音高校サッカー部を2003年に初の全国大会、2006年には全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会で初出場初優勝に導いた畑喜美夫氏(現広島県立安芸南高校サッカー部監督)。そんな畑氏は「量より質」を重視したトレーニングを実践している。安芸南高校サッカー部も週に2回しか練習を行わない。そこにどんなメリットがあるのか、高校サッカー界の革新者の考えるその理由とは。

チームスポーツに学ぶボトムアップ理論』より一部転載

著●畑喜美夫 写真●Getty Images


QINGYUAN, CHINA - JUNE 14:  A view of some of the 50 pitches at the  at the Evergrande International Football School on June 14, 2014 near Qingyuan in Guangdong Province, China. The sprawling 167-acre campus is the brainchild of property tycoon Xu Jiayin, whose ambition is to train a generation of young athletes to establish China as a football powerhouse. The school is considered the largest football academy in the world with 2400 students, more than 50 pitches and a squad of Spanish coaches through a partnership with Real Madrid. (Photo by Kevin Frayer/Getty Images)

なぜ「量より質」の練習が良いのか?3つの理由とは

 安芸南高校では、サッカー部の全体練習は週2回、火曜日と木曜日の放課後です。月、水、金曜日は休みにしています。土曜日と日曜日は試合というのが1週間のスケジュールです。

 これは広島観音高校のときから続けており、また、私の恩師である広島大河FCの浜本敏勝先生が小中学校のカテゴリーで実践していた週3回の練習という考え方と同様です。これが「量より質」を重視した練習です。

 広島観音高校に赴任してからは、なかなか結果がでなくて、周りからは、「練習量が足りないんじゃないか」とか、「子どもに任せていてはダメだ」とさまざまな否定的なこともいわれました。しかし、私自身は、浜本先生のもとでの小中学校での指導経験を信じて継続していきました。これまで広島観音高校の全国優勝の経験やプロサッカー選手が7名育ったことも含めて、週2回の練習でも質の高い練習をすれば、必ず結果はでると確信しています。

 それでは、週2回の練習はなぜ良いのでしょうか。第一に、ケガが少なくなります。休養もたっぷりとれるので、体調が十分に回復したうえでハイパフォーマンスでトレーニングや試合に臨めます。練習した次の日は休みという、一日おきのリズムですから体を酷使することはありません。

 第二に、選手のモチベーションアップにつながります。どう考えても少ない量なので、選手たちも、休みの日には練習がやりたくて、うずうずしてきます。一番大切にしたいのは、選手に練習をやりたいという気持ちを自発的に芽生えさせて、限られた練習時間で高い集中力と意欲をもたせることです。

 第三に、練習が週2回なので「考える」「工夫する」癖がつくことです。技術的に伸ばしたい部分を自ら振り返り、自分でトレーニングするのです。ビジネスにおいても、時間は無限にあるわけではなく、24時間の勤務時間の中で成果をあげていくには、「量より質」というキーワードは大切です。長い時間仕事をすれば疲れてしまい、生産性は上がるわけではなく、むしろ失敗やミスもでてくるかもしれません。

 短い時間だからこそ質にこだわり集中して取り組むことが組織としても有効なのです。労働時間を短くしたことで思考に余裕ができれば、空いた時間でいいプランを考え、生産性の向上にもつながり、疲労も軽減されることでミスや事故も少なくなっていくのではないでしょうか。

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