「重心を落とせ」ではなく「重心を上げろ」。サッカーにおける“骨盤”の重要性
2018年12月17日
コラム「重心を落とせ」ではなく「重心を上げろ」
――ロシアワールドカップはご覧になられましたか?例えば、この選手の動きはすばらしいと思った選手はいましたか?
松井「世界的に活躍している選手は動き出しがスムーズです。日本の選手たちも動き方がよくなってきたと思いますが、なかには基本姿勢としてお尻が落ちているため、動き出しが1テンポ遅い選手もいます。アフリカ系の選手たちはタメがなく、ススッと動きますから本当にすばらしいです」
――基本的な姿勢をずっと保っているから動き出しが早いのでしょうか?
松井「骨盤が上手に立った状態を保っているから背中などの上半身を常に安定して支えられている状態にあるのです。だから、動き出しにムダがありません」
――例えば、クロアチアは延長戦を3戦続け、結果的に決勝戦ではフランスよりも1試合多いことになりました。でも、モドリッチも含めて全員でプレスをかけられていました。私は日本人選手との違いは姿勢や動き方にあったのではないかと感じました。
松井「足だけに負担のない動き方をしているからこそ体力的にも戦えたのだと思います。もちろん、その動き方を彼らは誰かに教えられたものでもありません」
――そう捉えると、日本人は知識として持っておいた方がいいです。
松井「スポーツの種類にもよりますが、球技は必要だと思います。最近、サッカーでは『1対1で重心を落とすな』と言われ、『重心を上げろ』と声をかけられています。
昔は『重心を落とせ』と言われていました。重心を落とすと、骨盤を上げて走り出すから1テンポ動作が多くなり、その分パワー(体力)を必要とします。サッカーの守備の局面では、相手がどんどん離れていくので素早く動けなければなりません。いかに相手選手に「スッ」とついていくかが大事です。
重心が落ちていると地面をグッと踏んで動かなければなりません。ヨーロッパの選手はスムーズに動き出すので、そこに時間差があると完全に振り切られてしまいます。彼らを見て思うのは、意外と太ももやふくろはぎなどが極端に太くなくナチュラルに細いことです。
それは太ももやふくろはぎなど足ばかりを使っていない証です。同じ筋トレをしても、例えばヨーロッパ人が行う腹筋と日本人が行う腹筋は違いがあると思います。彼らは胸を反りながら腹筋をしていますが、日本人は体を丸めて腹筋をしてします。具体的には、腹直筋ばかり使うのか、それとも背筋も使うのか。同じ筋トレをしてもやり方が違うから身につく筋肉も異なります」
――すごくわかりやすいですね。極端な話、1箇所で腹筋しているのか、2箇所で腹筋しているのか。もちろん連動して使っていることは承知していますが、主に使っている箇所が多い少ないは大きな違いです。
松井「イメージとしてはそういうことです。彼らは何も言わなくても骨格のつくりが骨盤が立つようになっています。フィジカルを鍛えなければならないと言いますが、同じ筋トレや練習メニューをしても主に使う場所が1箇所か複数かで体の使い方、また疲労度合いも随分違います」
――確かに背中にまで連動をもたせた方が下半身に疲労もたまらないし、体の使い方も自然です。「体幹トレーニングなどをするな」ということではなく、やり方を意識的に考えた方がいいという話です。
松井「そう、良い悪いの話ではありません。地面から伝えられた力は体全体を通って前への推進力になるわけで、そうであれば鍛え方もその力が伝わることを感じて体全体を鍛えた方がいいわけです。腹筋のような動きで背筋も刺激していれば連動性を高めることができます。
腹筋をシックスパックに割って見せたいのなら腹筋に集中したやり方をすればいい。しかし、私は育成期の選手たちにこそ、体全体を使った動きを学んでほしいと思っています。だから、スクワットも足だけで行うより、背中も使った全身で行うように指導しています」
<プロフィール>
フィジカルコーディネーター
松井 真弥(まつい しんや)
スペインで10年、日本で3年、プロのサッカークラブでトレーナーを務める。帰国後は鍋島整形外科で体の使い方によるスポーツ障害の減少・パフォーマンスアップ、さらに健康維持等の指導、操体法による体のケアを行う。不定期で「足に負担をかけない動き方・体全体を使った動き方」などの講習会を開催。
▼経歴
2000〜2010年 RCDエスパニョール・トレーナー(スペイン1部リーグ)
2011〜2014年 ベガルタ仙台・トレーナー
2014年〜 鍋島整形外科(千葉市)
2018年〜 幅広い分野での活動を目指し、「EL CUERPO治療室」を設立。現在は順天堂大学サッカー部トレーナーとしても活動し、他にも2校のフィジカルアドバイザーを務める
▼ホームページ
https://elcuerpo.net/
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