「考えろ!」「気合を入れろ!」ではない。ジュニア年代の選手には具体的なヒントが必要不可欠である/ジュニサカ取材日記④

2018年12月28日

コラム

ボールへの寄せ方は判断を伴うサッカーのプレー!

 結果的に、大阪市ジュネッスFCは3対0で勝利し、予選グループを1位で突破した。そして、午前中にはベスト16に勝ち進むすべてのチームが出そろった。今年は町クラブの健闘が光り、Jクラブ関連のチームと半々で席を分け合う形となった。

 では、ベスト16まで勝ち進んだ町クラブ8チームは何が違ったのか?

 それはJクラブの選手たちを相手にしても自由にプレーさせない『ボールへの寄せ方』が一つ挙げられる。一般的には『1対1の強さ』などと片付けられてしまうが、ボールへの寄せ方は判断を必要としたれっきとしたサッカーのプレーだ。体の強さやスピードがあれば強いわけではない。

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 相手がボールに触れるまでの間にどれだけ距離を詰められるか、さらにどの角度で寄せるのかは最低限『ボールを寄せる』ために必要なスキルだ。

 例えば、日本サッカーでは「相手に抜かれたくないから」と距離をある程度開ける傾向にある。ただ、これではかなり斜め前方向のパスコースが開くことになるため、攻撃する相手の立場になると邪魔になっていない。

「縦パスさえ出させなければ」

 この考えがベースにあるのだろうが、サッカーはボールをある程度斜め前に動かすことができれば、どんどん積極的な攻撃が仕掛けられるため、ボールに対してそこからさらに寄せていかなければマークの効力が薄くなってしまう。

 また寄せ方の角度だが、これはマークする相手との関係だけでは成り立たない。そのボールに対してパスコースを作っている数人の相手を含めて判断し、初めて守備として成立する。守備が自分を含めて何人なのか、相手が何人で攻撃しているのか、さらにそれらの立ち位置=ポジショニングによって角度が決まるため、状況を認知する力が不可欠になる。

 特にベスト16に勝ち残った町クラブは、『距離の詰め方』が他のチームよりも素早く、その距離感も短かった。

 だから、相手にしてみればプレッシャーが大きかっただろう。何しろ前方向にプレーする選択肢が少なく、横パスやバックパスで攻撃を組み立て直す選択肢しか見つけられない。そこで時間をかけるほど守備の陣形がそろってしまうため、さらに攻撃の糸口がなくなる。

 しかし、『寄せの角度』という点においては、まだまだボールとゴールとを結んだ角度からしか寄せられない選手も多かった。確かに、この角度は正解ではある。ただ守備は攻撃以上に一人で行うプレーではないため、最低でも二人以上の関係でプレーする判断力が重要になる。味方との立ち位置を考慮したポジショニングが大切になるのだが、この点についてはまだ改善の余地がたくさんあった。

 ボールに対して猪突猛進に寄せることも大事だ。だが、これも状況による。それを前提としながらも、相手がどういう攻撃の選択肢を持ち、それに対して自分の味方がどの選択肢を消しているから自分がどのタイミングと角度でボールにプレスをかけに行くのかは、より具体的に選手たちとの会話の中で指導していかなければ習得は難しい。だとすると一長一短ではできないから、今大会においては指導者がある程度状況を整理し、幾つかの事例を提示することでしか解決策は見出せないと感じる。

 今日のベスト8とベスト4の戦いでも、ボールに対する厳しいプレス、そして組織的な守備を数多く目にできることを期待したい。


【特設ページ】JFA 第42回全日本U-12サッカー選手権大会【取材日記】


 

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