立ち返る原点はあるか? ドイツの改革成功の要因は「指導者のサッカー観」にある

2019年01月20日

育成を考える

2000年の欧州選手権でのドイツ代表の惨敗を機に『育成プロジェクト』を推し進めたドイツは、2014年のワールドカップ優勝という結果でプロジェクトの成功を証明した。2001年からドイツで指導者を務める中野吉之伴氏は、ドイツのサッカー改革が成功した理由として「指導者の持つサッカー観」を挙げる。どのようにして、指導者は自身のサッカー観を紡いでいけばよいのだろうか。中野氏の著書『世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ サッカー年代別トレーニングの教科書』からその手がかりを探る。

文●中野吉之伴 写真●Getty Images、ジュニサカ編集部

『世界王者ドイツの育成メソッドに学ぶ サッカー年代別トレーニングの教科書』より一部転載



【ドイツサッカー協会が進めた育成プロジェクトが功を奏し、ドイツ代表は2014年のブラジルワールドカップで優勝を果たした】

結実するドイツの育成プロジェクト

 攻撃的な選手を並べて展開される鮮やかな攻撃サッカーは見た目に華やかだ。しかし、ファンやメディアは時にあっさりと失点を重ねる代表に「ツヴァイカンプフ(編集注:「1対1」の意)はどこにいった?」と自分たちの美徳を求め出した。

 世論の心配は、2014年のブラジル・ワールドカップが始まってもいっこうに収まる気配がなかった。グループリーグを首位で突破したものの、決勝トーナメント一回戦ではハリルホジッチ監督率いる伏兵アルジェリアに大苦戦すると、ファンとメディアの不満は爆発寸前になった。

 なかなか歯車が噛み合わない状況に、監督のレーブも原点に立ち返った。高い組織力で勝ち上がってきたフランスとの準々決勝では、負傷で出遅れていたシュバインシュタイガーとケディラをボランチで起用。ラームをボランチから本来の右サイドバックに、FWには生粋のストライカーのクローゼを配置した。

 すると、すべてのパーツがはまり、今大会一ともいえる素晴らしい内容を披露した。ゴールこそCKからフンメルスが決めた1点にとどまったが、全体を通せばドイツが試合をコントロールしての完封勝利だった。

 手応えをつかんだ直後の準決勝では、開催国のブラジルに戦前の予想を大きく覆し、7対1と歴史的な大勝利を上げた。

 ドイツの戦い方からは伝統に固執した堅苦しさも、華麗だが脆さを併せ持った若々しさも感じさせなくなっていた。積み重ねてきた経験は『いつ、どこで、何をすべきか』という判断のベースとして蓄積され、あらゆる状況に対処できる懐の深さへと進化していた。

 ワールドカップ優勝へと導く決勝ゴールを決めたのが、チーム最年少のマリオ・ゲッツェだったことも象徴的だ。まさに、ドイツが長期的に取り組んできた『育成プロジェクト』の成果だった。

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