「有能感」を持たせる。それが一番大事。いわきFCが運動能力にアプローチする理由
2019年01月21日
コラム
【いわきスポーツクラブ(いわきFC)でアドバイザーを務める小俣よしのぶ氏。】
「ボールをいっさい使わない日もある」
――アドバイザーを務める対象にはアカデミーも含まれています。U-15やU-18の子どもたちには、どのようにアプローチしているのでしょうか。
「サッカークラブの育成組織ですので、将来的にはプロのサッカー選手になってほしい、というのが前提です。ただ、中学生年代に関しては体育からのやり直しをさせています。
実は体力テストを応用した育成診断テストを実施してみたら、全員が全国平均よりも低かったんですよ。要は部活動をやる以前の問題でしたので、その作り直しをアドバイザー就任から半年ほどをかけてやってきて、ようやくそこそこのレベルまで来たという感じでしょうか。
本当にサッカーしかやっていなかった子どもたちでしたので、これから本格的なサッカーの育成が始まる感じですね」
――体育のやり直しとは? ISAAではぐるぐるバットをさせる、とおっしゃっていましたが。
「ぐるぐるバットもやりますし、あとはハードル走とか跳ね起きとか。もちろんロンダート(側方倒立回転跳び4分の1ひねり後向き)も含めて、体を大きく動かすことからやっています。
神経を刺激して情報収集分析能力を呼び起こす、という感じですね。サッカーとはまったく関係ないです。ボールをいっさい使わない日もあります。U-15もU-18も、しばらくはサッカーの練習は週に2回くらいしかやってこなかったと思います」
――小俣先生が指導に来られない日も、具体的なプログラムを与える形で。
「そこまではしていませんけど、1週間の練習量をどうしようか、という基本的な話はしています。実はドイツにおける調査で、代表に選出された選手たちの多くが、若い頃にサッカーの練習をあまりしていない。専門的な練習を年間に100時間くらいしかやっていない選手もいた。
じゃあ何をやっていたのかと言えば、サッカー以外のスポーツを遊び感覚で、かなりの量をやっていたんですね。ドイツの事例を見れば、要は子どもの頃にサッカーを真剣にやらなければいけない、という考えは実は間違っていると思っていて。
日本は逆の考え方なので、3種や4種でしか通用しない選手が作られていく。これはベルギーもドイツと同様で、11歳くらいの子どもの個人練習は1週間で5時間くらい。これが日本だと10時間から20時間。
向こうは17歳くらいからチーム練習が増えていって、プロになる上での線引きが始まる。恐らくは身長を含めた発育が完全に止まった状態から、サッカーの練習量を増やした方が伸びていく、という考え方が前提にある。
私たちもドイツやベルギーに倣って、ということで取り組んでいるところです。もうひとつ、U-18を含めて、成人するまでの子どもに対しては『生物学的年齢』を特定しなければいけない」
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