運動能力低下と勝利至上主義はつながっている。日本スポーツ界全体の問題点とは
2019年02月04日
コラム競技に関係なく、すべての指導者が同じ知識を持つ
――東ドイツのスポーツ科学を学び取るのに、どのくらいの時間を要されたのでしょうか。
「いまだに勉強中です。東ドイツそのものは1990年に消滅しますが、1960年代から情報が出されていたソ連とは異なり、スポーツ科学に関する情報の多くは秘密にされていました。
1990年代の後半になってようやく情報が明らかにされ始めた状況で、日本における数少ない東ドイツトレーニング学研究者で、私が勝手に師匠と仰いでいる鳴門教育大学の綿引勝美教授にいろいろとご指導をいただきながら進めてきました。
残念ながら方法ばかりが伝わってしまって、理論がまったく理解されていない状況になっていますが、東ドイツへ留学した経験も持つ綿引先生は日本に“コオーディネーショントレーニング”を紹介したことでも知られています。
ドイツサッカー協会の“コオーディネーショントレーニング”も、東ドイツ出身のマティアス・ザマーがドイツサッカー協会のスポーツディレクターに就任したことがきっかけで取り入れられました。
UERO2000(欧州選手権)でドイツ代表が惨敗し、育成段階から改革しなければいけない、となった時に東ドイツで1970年代に作られたもの、コオーディネーショントレーニングやトレセンシステムなどをザマーがどんどん導入したと聞いています」
――東ドイツのスポーツ科学は、今現在はどのように受け継がれているのでしょうか。
「今は一般トレーニング学としてドイツスポーツオリンピック連盟の指導者養成の教科書になっています。一般トレーニング学とは、選手育成の理論なんです。フィジカルトレーニングの方法論ではありません。
したがって、すべての指導者が、まずはそれを通して選手育成に必要なスポーツ科学の基礎を学ばなければいけません。競技に関係なく、すべての指導者が同じ知識を持つということ。
日本は競技ごとなので、いわゆる横断的なものがない。オランダのアヤックスが導入しているアスレチックスキルズも元をたどれば東ドイツに行き着きますし、ベルギーの育成方法や選手の選抜方法も東ドイツのシステムが基になっている。
日本の方々はそういう事実を知らずに、スペインが勝てばスペイン、ドイツが勝てばドイツとなっている。ヨーロッパの国々がなぜ今のようになったかと言えば、国の歴史的、あるいは文化的な背景があるからなので。根本的なところを理解した上で、どのような形で日本に取り入れればいいのかを考えなければいけないんです」
【選手、監督としてドルトムントに在籍し、ドイツサッカー協会のスポーツディレクターを務めたマティアス・ザマー氏】
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは
- “早熟タイプ”か“晩熟タイプ”か。成長のピークはいつ訪れる? 子どものタイプを知ろう!!
- すぐに「痛い」と言い出す息子…。
- 【第37回全日本少年サッカー大会】埼玉県大会 決勝レポート「レジスタが初優勝、大宮ジュニアも全国へ」