運動能力低下と勝利至上主義はつながっている。日本スポーツ界全体の問題点とは

2019年02月04日

コラム

日本のスポーツが衰退するという危惧

――どこに問題があるのでしょうか。

「まずは学校体育の授業内容が緩い。ゆとり教育がそのまま残っているので。私が子どもの頃は体育がしっかりしていたので、学校で体力運動能力を向上させて、さらに放課後にいろいろな遊びの中で応用し、再び体育に戻り鍛えられるという素晴らしい循環がありました。それが今はいっさい断ち切られてしまった。
 
 加えて、サッカーなどを専門的にやっているような子どもも同じような状況にある。足の筋肉などは発達しているのに、残念ながらそれ以外のところの機能が低下しているので、しゃがんでいくと途中でしりもちをついてしまうとか、体育座りをしていくと足が開いてしまう。
 
 運動をしていない子どもだけに『ロコモティブシンドローム』が起こるのではなくて、実は運動を専門的にしている子どもの多くにも起こっているということ。後者は大人になる途中で大けがを負い、場合によってはサッカーを断念しなければならない危険性も出てくるかもしれない」
 
――この状況が続けば日本がスポーツ後進国になる恐れもある、と。
 
「その通りですね。子どもたちの数そのものが減っているところへ、体力と運動能力も低下していくわけですから。
 
 その意味では中国も今、子どもたちの運動能力の低下に対して危機感を抱いています。一人っ子政策で甘やかされて育ってきたので、日本よりもさらに酷い状況だと聞きました。
 
 北半球の先進工業国と呼ばれる国は、総じて同じ問題を抱えていると言っていい。オランダがロシアワールドカップに出られなかったのも、日本で言う体育を学校でやらないからだと思っています。スポーツをやりたい子どもは地元のスポーツクラブへ入るけど、その場合は最初からサッカー以外にほとんど選択肢がなく、最終的にはアンダーカテゴリーでしか通用しない選手が生まれてくる。
 
 ドイツも同様の状況に陥りかけていますけど、移民を受け入れていることでまだ何とかしています。だからこそ、民族の多様性もない日本が置かれた状況は、さらに深刻化していると言わざるをえないでしょう」
 
――そうした状況で、小俣先生が長く訴えてきた危機感は共有されているのでしょうか。
 
「何となく分かっていたことや疑問が明確になった、という声はよく聞くようになりました。さまざまなところでアドバイザーを務めている中で、いわきFCは相当先を突っ走っていますよね。大倉智代表取締役との話し合いから始まっていますし、親会社の株式会社ドームの方向性とも合致している。
 
 一般的に言うと、そろそろ定年退職の年齢に差し掛かっていますが、日本のスポーツ界を変えるモデルケースになると思って全力で突っ走っていきます」
 


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