「自分を客観視する機会」が成長につながる。子どもに「気づき」を与える指導者のアプローチとは【3月特集】
2019年03月27日
コラム指導者の関わり方で選手の振り返り方が変わる
——一つひとつの大会でもできることです。
藤代「まだまだリーグ戦ではなく、日本ではトーナメントが主体ですが、それでも一つずつ振り返りを積み重ねたらしっかりと成長はできます。結果だけでなく、スポーツではコントロールできない要素が多いからこそ振り返りが大切だと思います。では、実際に振り返りがどれくらいできているかなというと、後回しにされていることが多いです。あとは一人ひとりの発言が少ないことも課題だと感じています。
全体でミーティングして『どう思った?』聞くので、一部の人間だけが発言しています。そうすると、自分に自信のあるパワーバランスの強い子だけがうまくなっていき、発言していない子は振り返りができないから上達も遅くなります。例えば、ペアを作って2人組で振り返りをする機会を作り、その後に全員で共有するなどの工夫をするといいでしょう。ペアワークは個人的に非常に効果があるのではないかと感じています。きっと取り入れる価値はあります」
——確かに全員に発言させたいならペアワークはいい方法です。
藤代「ペアワークなら時間も節約できます。子どもあるあるですが、正解思考が強い子どもでも全体だと話をしないけれど、2人だと話ができる子もいます」
——子どもだろうと、大人だろうと、話しやすい話しにくいはあるものです。
藤代「例えば、上司と部下の関係で部下側だと話しにくいとか、一般的にあることなので少し仕組みを変えてあげるだけで話しやすい環境は作ることができます」
——それはすごくいいアイディアです。私はなるべく全員に発言させます。でも、「時間が長いな」と思う時もあります。
藤代「状況にもよります。全員の声を聞きたい場合もあります。例えば、2人で話し合った後に全体の中で意見を聞いていくと自分の答えを話すことが多いです。順番に一人ずつ回していくと、「あの子と同じです」と合わせる子もいます。そうすると、禁止ルールを加えなければならなくなるので、ペアワークの後に全員で回した場合の答えは同じでいいと思います。いかに出すかは大事なことです。インプットとアウトプットのバランスは両輪として回さないと学習効果は薄いですし、インプットしてばかりだと頭でっかちになるかもしれません」
——インプットばかりでも頭は爆発するし、アウトプットばかりでもガソリンが切れてしまいます。そのあたりはバランスです。
藤代「学習サイクルはどうやって起こっているのか? そこを意識してトレーニングしないと習得できないし、それを扱うことができないですよね。だから、サッカーノートが流行ったんです。あれは理に適ったことです。
でも、問題はあれがノルマになって苦痛を生むことです。
「こんなことを書くな」「文字量が少ない」など指導者や保護者のジャッジが入るので、そこで指摘されたり怒られたりすると逆効果です。私から見ると「サッカーノート、やりたくない」が最悪です。本来、スポーツは楽しいもののはずなのに、苦痛になってしまっています。そもそもサッカーはやりたくてやるものですから。
木之下さんはプロサッカー選手の取材もされていると思いますが、彼らは努力を努力だと思っていないですし、ただ夢中でサッカーをしている方も多いと感じています。誰からも強制されることなく、あくまで自分が取り組むのは好きがあって、『楽しい』『もっと良くなりたい』があるから。子どもたちもそういうふうに紐付けてあげたいですね。
自分たちの心への問いかけ方はとても重要です。例えば、『彼らにやらせるためにはどうしよう?』と考えると自然に禁止事項を挙げていきます。
『これをさせないようにしよう』『ゲームを禁止しよう』など。そうではなく、『彼らがやりたくなるにはどうしよう?』と考えると、前向きなポジティブな要素を考えるようになります。例えば、会社などで会議をした場合も、どっちの質問をするかによって方向性がわかれていきます。禁止事項を考えるのか、ワクワクすることを考えるのか。それで変わっていくと思います」
※第3回は3月29日(金)配信予定です。
<プロフィール>
藤代圭一(ふじしろ けいいち)
一般社団法人スポーツリレーションシップ協会代表理事。「教える」ではなく「問いかける」ことでやる気を引き出し、考える力を育む「しつもんメンタルトレーニング」を考案。全国優勝チームや日本代表チームなど様々なジャンルのメンタルコーチを務める。全国各地のスポーツチームや学校教育の現場などでワークショップを開催し、スポーツ指導者、保護者、教育関係者から「子どもたちの目の前で変わった」と高い評価を得ている。2016年からはインストラクターを養成。著書に「スポーツメンタルコーチに学ぶ」「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)がある。昨年12月に新刊「サッカー大好きな子どもが勉強も好きになる本」(株式会社G.B.)を執筆。
<しつもんメンタルトレーニング>http://shimt.jp/
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