ダノンとチビリンで散見された2つの課題。そもそもビルドアップは「何のために」行うのか?
2019年06月12日
育成/環境6月の特集は「U12・14・16の大会から見る育成の現在地」と題し、各年代で見られた日本チームのプレーや海外チームのプレーなど、試合で起こった現象をもとに育成年代の課題やその修正の考え方について掘り下げていきたいと思う。特集第2弾では、春に開催されたU12の全国大会で見られた2つのプレー傾向をピックアップ。そこからどういう考え方でプレーをすれば改善していけるかなどについて話を展開していきたい。
【取材対象】
3月 U12 ダノンネーションズカップ
4月 U16 キリンレモンカップ
5月 U12 チビリンピック
5月 U14 東京国際ユースサッカー大会
なお、この企画は全国大会規模の試合で多く見受けられたプレーの傾向を前提にしていくが、地域の育成現場でも類似した現象はたくさん起こっていると感じている。そういう背景を考慮したうえで、ぜひ参考のひとつにしてもらえたらありがたい。
【6月特集】U12・14・16の大会から見る育成の現在地
取材・文・図●木之下潤
U12の全国大会で見られた2つの課題とは?
春先に開催される「ダノンネーションズカップ」や「チビリンピック」では、特に数多く起こっている“2つの現象”が傾向としてある。それらの現象は、おそらくU12年代における大きな課題だ。
【特に多く起こっている2つの現象】
1.DFラインでサイドにパスを渡してもボールが前に進まない
2.余裕を持ってサイドでボールを持っても難しい選択をする
まず、このテーマを議論するうえで明確にしておかなければならないのは、2つの全国大会が新年度になって新チームとして始動する時期だということ、また担当する指導者が変わっている可能性もあるということだ。その一方で、海外とは違い、日本ではメンバーが刷新されることはあまりない。さほど変わらぬメンバーで継続してプレーできている環境があるため、記事内容については読者の見方次第ともいえる場合もある。なので、この特集では「試合で起こったプレーの現象」に焦点を当てて議論を展開していくので、それ以外の要素にとらわれすぎずに読み進めてもらえるとありがたい。
【図1】
ひとつ目は「DFラインでサイドにパスを渡してもボールが前に進まない」現象についてだ。きっとこの現象は地域の試合でもたくさん見られるプレーではないだろうか。それこそ先日、私が関わる町クラブのお父さんからも「サイドにボールが渡っても前に進まないんですが、どうすればいいんですか?」と嘆きの相談を受けたばかりだ。
この問題を解決するには、指導者が「ビルドアップは何のために行うのか」「どうしてサイドにボールが回るのか」に向き合わなければ同じ現象が起こり続けると思う。もちろん解決策はひとつではないが、とにかくボールが最後尾からスムーズに前に進まなければサッカーにならないのは誰もが理解できるはずだ。
そもそもビルドアップは何のために行うのか?
その目的は、相手にとっての守備のファーストラインを越えてボールを前に運ぶことにある(図1)。つまり、危険を回避しようとCBがSBにボールを渡したのなら、その選手は自分にかけられる守備プレスのファーストラインとなる選手を越えてボールを前進させることが第一の目標だ。
次に、どうしてサイドにボールが回るのか。
それは自チームにとって守備のプレッシャーを受けない最も安全なエリアだからだ。それなのに2つの全国大会では多くの選手がプレッシャーを受けていないのにもかかわらず、足下でボールを止めて周囲を見回したあと、CBにボールを戻すという一連のプレーが見受けられる。当然その間に、相手は守備陣形を整えるために自陣側に引いて全体が後方にポジションを取るため、CBにとってはプレッシャーの少ない状況になっている。だから、ボールが戻ってきてもプレーそのものに問題ない。
しかし、守備陣形を整えてしまった相手を改めていちから崩そうと思ったら、それ相応の労力をかけなければそのタイミングでの守備のファーストラインを越えることは難しい状況になってしまうことも同時に念頭に置かなければならない。もちろん、ときと場合によっては簡単にCBにボールを戻し、自分たちが次にどうプレーするかを考える時間づくりが必要なこともある。ただ、相手も止まることなく走り続けることはできないのだから、毎回SBが慌てる状況もないことも事実である。
だとしたら、SBはどうプレーすればいいのだろうか?
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