「ストレッチのやりすぎ」は危険。小さな身体でも当たり負けないのは「ムーブメント能力」が高いから

2019年06月15日

フィジカル/メディカル
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前回説明したように、強いボールを蹴るためには、脚の力よりも、背骨のしなりが大切です。では、しなりをサッカーの動きへとつなげるためには、どのようにトレーニングをすればいいのでしょうか。今回は、理学療法士でスポーツトレーナーの樋口敦氏に、身体づくりの土台となる3つの要素について、教えていただきました。

『10代のための新しいトレーニング ヒグトレ 背中を柔らかく鍛えるとサッカーはうまくなる』より一部転載

著●樋口敦 構成●中村僚 イラスト●中山けーしょー


前編『力任せに蹴ってもボールは飛ばない。ケガをしにくい身体の使い方とは?』


ヒグトレ_モビリティ

「可動性」と「柔軟性」は違う

 モビリティとは可動性、つまり「どのくらい広く動かせるか」を意味します。脚をどのくらい開くことができるか、腕をどのくらい大きく回せるか、上半身をどれだけ反らすことができるか、などの動きです。

 それは、1方向のみに大きく動かせることではありません。例えば脚を後ろに大きく振り上げることができても、横に大きく開けないのであれば、可動性があるとは言えません。前後、左右、上下、さらに回かい旋せんと、あらゆる方向への動きができることを「可動性がある」「可動域が広い」と表現します。

 この可動性がなければ、大きなパワーは生み出せません。筋肉によるパワーよりも、大きく動かすことで生まれるパワーの方が、サッカーにおいては役に立ちます。

 キックを例にあげると、太ももやふくらはぎの筋肉をだけの力で蹴るよりも、脚を大きく真後ろへ振りかぶり、上半身を弓矢のようにしならせることで生まれる反動を使って蹴る方が、強いボールを蹴ることができます。そこに筋力が乗ることで、さらに大きな力を生むことができる、と考えるのがよいでしょう。

 一方で、「柔軟性」と混同しないことも大切です。体操選手が床に身体をべたっとつけるような開脚は、サッカーにはあまり必要のないものです。むしろ伸びすぎによる弊害も出てきます。

 例えば、腸腰筋を伸ばすストレッチは、多くのチームが取り入れていると思います。しかし、筋肉には本来持っている長さがあるのですが、ストレッチのやりすぎで伸びすぎてしまうことがあるのです。そうすると、伸びきったゴムのようにたるんだ筋肉になり、伸縮による反動力を生み出すことができず、サッカーでは強いキックを蹴れなくなる可能性があります。

 関節を大きく動かすことができ、なおかつ伸び縮みもできるようになることで、初めて「可動性がある」といえるでしょう。

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