「見る力」を養う。まず“見えて”いなければ努力をしても意味がない【サッカー外から学ぶ】
2019年06月27日
育成/環境
【デッサンは『見る力』を養う】
地味にすごい! デッサンは「ものを見る訓練
「デッサンに関して言えば、あれは完全に『ものを見る』訓練なんですよ。8つの能力で言えば③形状ストック④構図構成力⑤形を取る能力⑥立体を把握する力。デッサンがうまいからといって、いわゆる『うまい』絵が描けるわけではありませんが、描画能力のこれだけのものをカバーできる。それに①アイデア②オリジナリティも、普段からものをよく見て知ることから生まれてきます。⑦テクニックはアウトプットの話であって、結局、見る力を鍛えなければ、⑧完成させる力にたどり着けませんよね」
絵をうまく描くための8つの能力はそれぞれ独立して存在していて、人によってばらつきがあるという見方もできるが、「描画する力」ととらえればすべて相関関係にある。
サッカーでも、リフティング世界一、ドリブル世界一の選手が世界一のサッカープレーヤーにはなれないが、サッカーに必要な要素の能力が高いことは事実だ。
現場のコーチならすでに体感しているように、一つを取り出したトレーニングはその要素自体が目的化しやすい。成冨さんは8つの才能をベースに、「デッサンをうまく描けるようになること」ではなく「デッサンで見る力を養うこと」をトレーニングしている。
「まず“見えて”いなければどんなに努力しても伸びないんですよね。生徒から『見えることがなぜそんなに大事なのかわからない』と質問されたことがあったんです。そのときに説明したのは、デッサンする目の前の風景のこと。ワインのボトルが置いてあって、その手前に木箱がある。質問した生徒は木箱とその周囲を丁寧に描き込んでいたんですけど、この描き方が『見えてない』人の描き方だったんです。
立体の箱を書くのに平面的な輪郭線を引いてしまう。輪郭線で描くのはたしかに簡単なんだけど、この線は存在しないんですよ。線もそれぞれが平面的な同じ線ではなく、台と箱が接している線であったり、空間と箱を区切る線だったりと質が違います。その間に空間がどれくらいあるか、空気が流れているのかどうかによっても全部違う。見えていない人は、全部同じ線で描いてしまう。立体の把握以前に、見えていないんですね」
見る訓練は、見たものをデッサンすることによってある程度鍛えられるが、注意しなければいけないのは、生徒たちは「自分が見えているもの」を描いているということだ。
「説明してわかるという生徒もいますが、多くの人は見方がわかっていないから見えていない。そもそも生徒と私で見ているものが違うわけです。どう見るのかを教える前に『こういうものだから』と説明しても、話が通じませんよね。厳しいことを言えば、目がエラーを起こしている人も一定数います。これは結構致命的なのですが、対処するしかないので、視覚が結ぶ像がズレていることを伝えたうえで、それを認識して補正する方法を身につけていくしかないのです」
人間は自分の見るもの、自分の視点だけが「世界のすべて」なので、見えているものが違うというのはまさに盲点だが、たしかに絵を描く描かないにかかわらず、そもそも「見えているものが違う」という視点は誰かに何かを教える際に重要なものだ。
「何度言ってもわからない」「あいつには才能がない」「やる気がない」と心の中で思っても、口に出す前に「もしかしたら見えているもの、見ているものが違うのかも?」と思えば、また違ったアプローチができるかもしれない。
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