育成に必要なのは愛である。どんな指導法よりも大切なこと【GKを準備する】
2019年07月05日
メンタル/教育

どんな指導法やメソッドよりも大切なこと
――目指すものがキーパーではなくてもアプローチは同じですか?
本人が何かになりたい、こうなりたいと語ったとしたら、励まします。頑張れって、サポートします。それが医者になりたいとか、キーパーになりたいとしても同じです。特殊な仕事や競技、専門性が問われるようなものだとしたら、それに向けて一緒に準備しようと言ってあげます。
いずれ手伝おうとか、それこそ大学まではちゃんと行ってからそのあと考えよう、ではなく「今日からだぞ。来年からだとか、高校が始まったらとかではなくて、今からやるんだぞ」と。今本人がそう思うんだったら、それを手伝う。それが何であっても。
例えば体が小さくても、本人が「キーパーをやりたい!」という熱を持っていれば、もしかしたらゴールが小さいフットサルでプレーできるかもしれない。だから体が小さいからといってキーパーをやりたいモチベーションが高い子どもに対して「お前は向いてないからやめろ」と言ってしまうことは絶対にありません。
――ジュニサカでGKの連載を進めるにあたり、とても大事なお話を聞けた気がします。これはチームの監督や保護者にも聞いてもらいたい話です。少しジュニア年代のキーパー指導のお話に戻します。ジョアンは以前から、キーパーを始めたばかりの子どもにGKコーチがシュートを打つような練習は絶対にやめるべきというお話をされています。他にキーパーを始めたばかりの子どもへのアプローチで重要なことはありますか?
一番大事なのは根気です。なぜなら子どもと一緒にやっていることだからです。例えば、医者のお父さんが、11歳の息子に「明日オペしてみろ」と言わないでしょう? なので、今すぐ「シュートを止めろ」などということは絶対にやらせてはいけません。物事には正しい順番があるのです。
――日本の育成環境だと、サッカー経験のないボランティアコーチ主体で運営しているクラブもあります。GKコーチがいないチームのGK指導はどう考えればいいでしょうか。
難しい問題ですね。そういった場合はGKの専門的な指導をしてはいけないと思います。キーパーコーチは誰でもいいわけではないですから。フィールドのコーチとはまったく別物です。それでも状況的にやらなきゃいけないのだとしたら、本人が確信を持っていないことを言ってはダメだということです。なので、キーパーのことを一緒に学びましょう。そのための連載です。
――改めて「キーパーをやる!」と言い始めた子どもに対してするべきアプローチはありますか?
「キーパーを準備する人」であれば、一番最初にやらなければならないのは、その子とちゃんと話をすることです。話をして理解させることもトレーニングの一環なのです。
キーパーコーチはキーパー経験者でなければいけません。しかし自身が子どものときにやっていたことをそのまま指導するのはやめてください。この練習はやるべきか、そうではないのか。その子にとって重要な練習なのかを考える必要があります。
俺はこうやって練習してきた、と経験則のみで指導せず、「どうすれば、自分の現役時代より、はるかにいいキーパーを育てられるのか。自分よりいいキーパーにするために何をすればいいか」と考えてください。
そして最後に最も重要なもの。それは愛情です。FC東京時代の教え子だったアキ(林彰洋選手)は私のことを“パパ”と言います。もちろん彼には厳しく言うこともありました。何度も言い合いをしましたよ(笑)。それがあったからこそ、去年すごくいいパフォーマンスをしてくれ、今でもそのパフォーマンスを継続しています。もし私が彼に対して父親のような愛情を持って接していなかったら、おそらく関係性は最悪だったでしょう。いくらいい理論を持っていても、選手がコーチからの愛情を感じられなかったら、本当に伝えたいことは伝わりませんから。
ジョアン・ミレッ氏 監修『ジョアン・ミレッ 世界レベルのGK講座』2020/1/15発売!
<プロフィール>
ジョアン・ミレッ
1960年11月1日、スペイン・カタルーニャ州出身。選手としてスペイン2部でプレーしたのち、1985年にテラッサ(2部)の育成GKコーチに就任。2000~2012年までゲルニカ(4部)のトップから育成までのGKコーチを務めた。2013年に来日し、湘南ベルマーレのアカデミーGKプロジェクトリーダーを経て、2017~2018年までFC東京のトップチームGKコーチ。現在はJFL奈良クラブのアカデミーGKダイレクター。
■講習会情報
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http://naraclub.jp/gkproject
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