サッカーに「ドリブラー」という“ポジション”はないにも関わらず、なぜドリブルだけを切り取ってしまうのか
2019年07月13日
育成/環境日本には「サポートするのが大変」な選手が多い
「ドリブラーの横でサポートするのは大変だと感じませんか?」
その場にいる全員が首を縦に振ってくれます。
何が大変なのでしょうか。
「ドリブラー」と評される選手のサポートをしようとしても、いつこちらにパスが来るのかわからないのです。「今か?」と思って近づいてもパスは出てこない。「今は来ないだろう」と思って離れたときに限ってパスが来る……。残念ながら、日本の少年少女サッカーの現場でいわゆる“テクニシャン”と呼ばれる選手たちの大半は、周りの選手たちからすれば「サポートするのが大変だ」と感じてしまう選手に過ぎません。そのようにしか育てられていないのです。
本来、サッカーというスポーツは周りと関わり合いながら一つのチームとなって、11人同士が競い合うものです。
世界各国の少年少女サッカーの現場において、子どもがまだ小さいときから、ドイツは3人、オランダは4人、ブラジルは5人をトレーニングするときの最少人数と考えて、指導をスタートさせることが伝統になっています。
たとえば、ブラジルでは子どもの頃からフットサルを行うことが盛んなので、「5人」の関係性が重視されます。5人がどうボールに絡めば有効なプレーができるのか、子どもたちはそこから学び始めることになります。
ブラジルのサッカーには、日本同様に「ドリブラー」が育つようなイメージがあるかもしれません。しかし、育成年代の子どもたちのプレーをよく見れば、ドリブルが得意な子どもでも、相手が来たときにギリギリのタイミングでパスができる姿勢を保ちながらドリブルをしているのがよくわかります。あくまで、周りとの関係を意識しながらドリブルを一つの選択肢として利用しようとする感覚があるのです。
※続きは7月19日発売の「蹴る・運ぶ・繋がる」を体系的に学ぶ ジュニアサッカートレーニングをご覧ください。
<プロフィール>
池上正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190ヶ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、その後、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターや普及部部長を歴任した。現在は「NPO法人I.K.O市原アカデミー」で全国の子どもたちや指導者に池上メソッドを伝える傍ら、大学講師も務める。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)はベストセラー。『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』『少年サッカーは9割親で決まる』(小社刊)。ジュニア指導歴39年で、のべ50万人の子どもたちを指導した実績を持つ。
【商品名】「蹴る・運ぶ・繋がる」を体系的に学ぶ ジュニアサッカートレーニング
【著者】池上正
【発行】株式会社カンゼン
【判型】(ソフトカバー)/208ページ
【価格】1,700円+税
【発売】2019年7月19日発売
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