「どうやったら体が大きくなるの?」子どもが必要としている食事量を知ろう!

2019年11月05日

フィジカル/メディカル

ジュニア年代の子どもを持つお父さんやお母さんから「どうやって子どもの体づくりをサポートしたらいいのか」という質問をよく受けます。成長期を控えた子どもの食生活は、将来の体型に関わる大切なテーマです。晩秋から冬にかけては栄養豊富な食材がたくさんあり、子どもたちの体作りに適した季節です。そこで、11月の食育テーマは「タンパク質で頑丈な体を作る」にしました。

監修●川上えり/構成●北川和子/写真●ジュニサカ編集部


食育 体づくり

 
「秋の食欲」を利用して食べる習慣づけを
 

 秋が深まり、朝晩が冷え込む季節になりました。でも、晩秋の優しい日差しの下でプレーするスポーツは気持ちが良いですよね。ジュニアサッカーの現場では10月に引き続き、11月もたくさんの試合が予定されているチームが多いのではないでしょうか。

 10月は夏から秋にかけて涼しくなる季節の変わり目に備えて「旬の野菜で体を整える」というテーマでお話しましたが、晩秋から冬に向かうこの11月はそれを土台に「タンパク質で丈夫な体を作る」をテーマに話を進めていきたいと思います。

 まず、この3か月の生活パターンを振り返えると、夏休みで親が大忙しの8月、厳しい残暑が続いた9月の新学期、試合や行事の多い10月……。このように、親子ともに慌ただしい日々を送っていた家庭が多かったはずです。

 そこから11月に入ると、体が少しずつ季節の変化に適応し、2学期の生活リズムもすっかり板につく時期。日暮れが早まることで夏と比べて活動時間が短くなり、自分自身の体の状態をきちんと見つめる余裕が出てくる頃だと思います。そして、冬を前においしい食材が豊富にそろい、食欲が増す傾向にあるのが秋です。きっと「食」のことを真剣に考えるにはピッタリの時期です。

 よくお母さんたちから「どうやったら子どもの体を大きくできるのか」という相談を受けます。体が大きくなる成長期を控えた時期には、個々の体格差が出やすく、他の子と比べてしまって不安になるからかもしれません。体格や骨格には遺伝的な影響もありますが、習慣次第で良い方向に変えていくことはできると、私は考えています。

 そのときに必要なのは「運動」「睡眠」「食事」です。

 みなさんのお子さんはきっと活発に運動されているでしょうから、家族でサポートできるのが成長ホルモンの分泌に関わる「睡眠」と、体を作る「食事」ではないでしょうか。私からは食事面でのサポートについて深く掘り下げていきます。

 食事での体づくりは「骨格」「筋肉」「胃腸」を意識してアプローチしていくことが大切です。タンパク質をテーマにした「骨格」と「筋肉」については次回説明することにして、今回は「胃腸」について紹介していきます。

食育 栄養

 
「食べられる胃袋」は体づくりに有利
 

 スポーツをする子どもにとって「適度な量をしっかりと食べて、きちんと消化吸収できる胃腸」は、体を作っていくうえでとても重要な条件です。

 当たり前のことですが、いくらバランスの良い食事を用意しても、子どもがそれを食べられなければ筋肉や骨が育つことはありません。逆に「適量を継続して食べることができる」というのは、それだけで体づくりにおいては有利なポイントともなるわけです。とくに、持久力と瞬発力を必要するサッカーは、たくさんのエネルギーを消耗します。試合などで1日中活動をする日、激しい練習をした日には、消費したエネルギーが摂取したエネルギーを越してしまう可能性もあります。

 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2015年度版)では、身体活動レベルに応じて推定エネルギー必要量が設定されていますが、活動量が多い学童期の男女は、少ない子に比べて必要量が400~600kcalも多く設定されています。

※参考=厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年度版)

 おそらくサッカーをしている子どもたちの多くは、活動量が多いカテゴリーに当てはまります。そうなると、運動で消費するエネルギーを食事できちんと補う必要があるということになります。5月の食育連載「土日でたまった疲労を回復!『疲れを残さない』食事メニューで全力サポート」の中で解説しましたが、激しい運動によってエネルギー不足に陥ると、「体づくり」という視点からも悪影響が懸念されます。

 そもそもエネルギーの源となるのが、ご飯、パン、イモ類、麺類などの炭水化物に多く含まれている「糖質」です。エネルギー消耗が激しい状態が続くと、糖質が不足し、体を構成するタンパク質や脂肪がエネルギー源として使われてしまう場合があり、他で使うべき栄養素が足りなくなる状態を作ってしまいます。

 そういった事態を避けるためにも、「体が必要としている量を食べること」に胃腸を適応させていく必要があります。折しも、秋は食欲が増す傾向がある季節です。しかも旬の野菜は甘みが増し、魚は脂がのっておいしいものばかり。新米はみずみずしく、サツマイモやサトイモといった糖質の多い根菜も旬を迎えています。この食欲の秋を利用して、「きちんと食べる」という習慣をつけて欲しいと思います。

 例えば、サッカーの練習や試合の前日にはご飯やパンを始めとした炭水化物を多めにとり、活動後にはサンドイッチやおにぎりといった補食を通じてエネルギー補給をすることをお勧めします。成長サポートの役割も果たしている間食は、できれば白砂糖を多く含むお菓子ではなく、おにぎりやサンドイッチ、果物など、炭水化物とビタミンを摂取できるメニューをセレクトしたいですね。

 また、読者の中には「子どもの食が細い」と悩んでいるお父さんやお母さんもたくさんいると思います。「たくさん食べさせなければ……」と焦ってしまったり、あまり食べないお子さんにイライラしたりしてしまう瞬間もあるかもしれません。でも、無理やり完食させるのではなく、間食を上手に取り入れて、こまめに食事をとることも一つの方法です。そして、食べられなかったときにネガティブな声かけをするよりも、きちんと食べられたときにポジティブな言葉がけをすることで、お子さんの食生活もゆっくりと変わっていくと思います。

 間食を活用して食べる量を増やしていくことで、胃腸も「必要な量を食べる」ということに慣れていきます。さらに、「食べられる胃袋」だけでなく「消化吸収できる腸」も同じように大切なことです。腸の環境を整えるためには、発酵食品や食物繊維を含む食材を日々の食事の中に取り入れるよう心がけていきます。

 ここまで「きちんと食べられる胃袋」「消化吸収できる腸」の重要性についてお話してきましたが、1点だけ気をつけたいのが、情報化社会特有の子どものスポーツを取り巻くいろいろな声です。

「たくさん食べた方がいい」
「体が大きい方がいい」

 読者のみなさんも心当たりがあるかもしれませんが、インターネット上にはこのような声がたくさんあり、そういう声に耳を傾けているとついその理想を子どもに押しつけすぎてしまうことがあります。

 青少年のスポーツの現場には「食事はトレーニングの一環」だと考える指導者は少なくありません。もちろん活動量が多い子は、その分たくさんのエネルギーを要するのは事実ではあります。とはいえ、個人差がありますし、子どもが食べることを嫌いになってしまったら元も子もありません。

※参考=東京新聞9月8日付記事

 この連載を通じてお伝えしていることですが、基本的に「食事は楽しく食べるもの」を大事に、家族みんなで食事をしてほしいなと思います。次週は「骨格」と「筋肉」に焦点を当てて体づくりについてお話をしていきます。

>>11月の食育連載の第二弾は11月12日(火)に配信予定

川上えり


 【プロフィール】
川上えり(かわかみ・えり)
管理栄養士。FCジュニオール(大分県中津市)の栄養アドバイザー。海外で活躍するプロサッカー選手の食事などをサポートし、チームの遠征・合宿にも帯同。アスリート向けのレシピ制作、子育てママ向けのコラム執筆など幅広く活動している。


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