「なぜシュートするのか?そこに判断のプロセスはあるのか?」8人制が生んだゴールへの意識の変化とは

2021年04月21日

育成/環境

8人制サッカーの全国大会がスタートした2011年と、近年の1人あたりのボールタッチ数やアクションの数は着実に増えてきています。では、8人制の導入によってゴール前での攻防にはどのような変化が生じているのでしょうか。現在発売中の『8人制サッカーの教科書』から一部抜粋して紹介します。

著●内藤清志 監修●日本ミニフットボール協会



(写真●佐藤博之)

ゴール前の攻防はどうなったのか

 ペナルティエリアへの侵入回数や、ペナルティエリアでのシュート回数は増加しているというデータが出ています。データから考えると、全国大会レベルではしっかりと相手を崩すだけの、技術力と判断力が備わってきているのかもしれません。

 ただ、多くの4種年代の指導者が、全国大会出場レベルのチームで指導をされているわけではありません。そんな中で、入口としてのサッカーが8人制だった場合、コートサイズが11人制に比べて小さいことから、判断の基準がなく、

「ボールを前方へキックする」
「ゴールに近づく前に、ロングシュートしてしまう」

 こういった場面が出てきてしまうのではないでしょうか。

 そうなると必然的に、現段階で、チームで一番ボールを飛ばせる力のある子は、シュートを打つことだけを目的とした選手になってしまいかねません。他の技術力や、味方や相手の位置の把握、状況を判断してからプレーを選択、そして、実行するという、この年代で身につけておきたい要素に、目が向かなくなっていることも見受けられます。

なぜシュートするのか? それをどう指導したらいいのか?

 もちろん、ロングシュートが悪いと言っているわけではありません。サッカーの目的はゴールを奪うことです。だから、攻撃 はシュートをどこからでもどんどん打つ意識を持つべきだと考えています。特に、海外に日本の子どもたちと遠征に行くと、このシュート意識とシュートレンジは、大きな差を感じる部分です。つまり、問題はシュートに至る際に、しっかりとした判断のプロセスを踏んでいるか、いつ・どこでボールを受けて、その時に相手はこうなっている(もしくはこうなりそう)、「だから私はシュートを選択したんだ」という部分が備わっているかどうかという点です。

 勘違いしてはいけないのは、これは子どもたちが悪いわけでも、間違っているわけでもありません。選手たちは競争(勝負) が大好きで、認められたいのです。その中で、目的であるゴールがある、だからシュートを打つ、という心理は極めて自然です。

ですから、日常のトレーニングやトレーニングの中で行うゲーム中の、オーガナイズやルール設定を少し工夫していきましょう。

選手たちは、自然にプレーをしている中で、

「ここからシュートを打てるが、もう少しゴールに近づいてもシュートが打てそうだ。それに、パスもドリブルもある。どちらのタイミングでもシュートは打てるが、ここからでは相手にシュートが当たるかもしれないし、シュートが決まる確率はもう少し近づいた方が高そうだ。じゃあ、近づいてからゴールを狙おう」

という選択肢を持てるようにしてあげることが、「指導をする」ことの重要性だと、私は考えます。

「シュートを打つな」というのは簡単です。ましてや、監督の指示だと選手はなんでも受け入れてしまうことが多いかもしれません。しかし、それは、まったくもって自然ではありません。むしろ不自然です。

 選手が自らの選択を楽しんでいる、楽しめるようになる、そこを絶対に忘れてはいけません。


つづきは『8人制サッカーの教科書』からご覧ください。


【商品名】8人制サッカーの教科書
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2021/04/20

【書籍紹介】
11人制で活躍する選手を育成するには、
指導者が“サッカーの本質”を理解することが重要だ。

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これまでになかった「8人制サッカーの教科書」が登場!

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