日本とドイツ、選手評価基準の明確な違い。重要視されるのは「アグレッシブ性とダイナミック性」
2021年06月08日
育成/環境ドイツの名門シュトゥットガルトでスカウトを勤めた河岸貴氏は、日本とドイツにおける選手の評価基準には明確な違いがあると言います。ドイツでは選手のどのような能力が重要視されるのでしょうか。現在発売中の『フットボール批評 issue32』から、一部抜粋して紹介します。
文●石沢鉄平 写真●佐藤博之

日本人選手に足りないのは攻守に関わるダイナミック性
――気になるのがスカウティングに関して。日本とドイツの違いを教えていただけますか。
「僕の経験上、一般的な査定項目を大きく分けると、テクニック、タクティクス、メンタル、アスレティックの4つとなります。メンタルの項目が非常に多いのがドイツらしいところでしょうか。子どもの査定項目は先程の4つにチームワーク項目、イメージ項目などが加わります。チームワークは言葉通りで、イメージとは何かと言えば、選手自身が現実的に自己分析できているかど うか、選手自身が意欲的に物事を解決する能力があるかどうか、などです。あとはGK専用の査定リストもあります。ドイツ的に重要な査定項目になるのは、アグレッシブ性とダイナミック性になるでしょうか」
――日本にはアグレッシブ性とダイナミック性という査定項目はないのでしょうか。
「そもそも日本とドイツとでは査定の優先順位が違うと思います。ドイツではサッカー選手に求められる要素として、テクニックと同様にアグレッシブ性、ダイナミック性が評価されるものとなります。個人的には前者よりも後者がより重要視されると感じます。特に子どもの場合、テクニックがあっても、これらの要素がなかった場合は取らなかったですから。例えばアグレッシブ性は、1対1における取り組み、球際での強さ、ダイナミック性は、上下運動ができて攻守両方に関わりを持てるかどうかなどです。栃木の面矢選手はそれを持っています。逆に髙江選手と中村選手にはまだダイナミックさが足りません。その査定基準で言う と、今まで日本で評価されてきたタイプの中村憲剛元選手、遠藤保仁選手はやっぱり違うんですよね。日本人で過去にドイツの基準に即す選手は中田英寿さんが思い浮かびます。これまで海外で成功してきた日本人はアグレッシブ性、ダイナミック性があったケースが多いと思います」
――個人的にはアグレッシブ性とダイナミック性は抽象的なものだと考えていたので、査定できないものだと思っていました。
「それは日本でイメージできていないだけではないでしょうか。ドイツだと、テクニカルな選手、うまい選手のほうが抽象的です。ドイツではアグレッシブ性とダイナミック性はクリアになっていて、ファンも大体想像ができます。むしろそこが重要視され、そこをファンも求めています。100%力を出し切れるとか、そもそもサッカーはそういう競技で、そういう心構えがないとサッカーは勝てないスポーツのはずなんですよ。つまり、上手下手で選手は判断されることはなく、勝利に貢献できる強い選手が重宝されるのです」
全文は『フットボール批評 issue32』からご覧ください。
【商品名】フットボール批評 issue32
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2021/06/07
【書籍紹介】
禁断の「脱J2魔境マニュアル」
我が国が誇る2部リーグ・J2は、「魔境」の2文字で片付けられて久しい。この「魔境」には2つの意味が込められていると考える。一つは「抜け出したいけど、抜け出せない」、もう一つは「抜け出したいけど、抜け出したくない気持ちも、ほんのちょっぴりある」。クラブの苦痛とサポーターの得体のしれない快楽が渾然一体となっているあやふやさこそ、J2を「魔境」の2文字で濁さざるをえない根源ではないだろうか。
1999年に創設されたJ2は今年で22年目を迎える。そろそろ、メスを入れることさえ許さなかった「魔境」を脱するためのマニュアル作りに着工してもよさそうな頃合いだろう。ポジショナルプレーとストーミングのどちらがJ2で有効か、そもそもJ2の勝ち方、J2の残留におけるメソッドはできないものなのか。このように考えている時点で、すでに我々も「魔境」に入り込んでいるのかもしれないが……。
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