試合中副審をよく見ていますか?子どもたちにも知ってもらいたい三浦知良選手の審判との“駆け引き”とは

2021年10月08日

メンタル/教育

来週15日(金)に『しくじり審判 失敗から学ぶサッカー審判の教科書』が発売されます。ジュニア年代の指導者やお父さんコーチの皆さんは練習試合などで審判をすることが少なくないでしょう。きわどいジャッジをした際、選手のアクションに対して審判はどう感じているのでしょうか。また、実際にプレーをする子どもたち自身も審判に悪い印象を抱かせないようにプレーするにはどうすればいいのか様々なヒントが隠されています。ぜひ参考にしてみましょう。

『しくじり審判 失敗から学ぶサッカー審判の教科書』

文●小幡真一郎 イラスト●千田純生


際どい判定を巡りキングから放たれたクールな指鉄砲

 前半30分くらいのことだったと記憶しています。三浦知良(以下、カズ)選手がFWで出場していて、相手ディフェンスラインから体一つ分くらい前に出ているような状態で味方のパスに反応したんです。副審の私からは25メートルくらいの距離で、ピッチの中央より手前側でした。際どいタイミングでしたが、自分もラインはキープできていたのでフラッグアップしました。そのまま抜けていればカズ選手はGKと完全に1対1になるような状況でしたが、主審が笛を鳴らしてオフサイドとなりました。

 そのときです。カズ選手が私のほうに向かって両手を”小さく前に倣え”のように胸の前で揃え、「どのくらい(自分の体が)ディフェンスラインから出ていたのか?」と聞いてくるようなジェスチャーをとったのです。私も少し考えて「このくらい」と、両手で胸の前に30〜40センチほどの幅をとってカズ選手に示しました。

 これをみたカズ選手は、笑いながらこちらに指鉄砲を向けて「バーン!」と撃ってきました。とっさのことで対応に迷ったのですが、こちらも笑って対応し、カズ選手は言葉を何も発しないまま試合は再開されました。

 審判との駆け引きという側面もあったのかもしれません。同じような状況であれば、「今のは(オフサイドは)ないでしょ!」と不服そうに言ってくる選手のほうが圧倒的に多いものです。これでは言われたほうも身構えてしまいますが、カズ選手のような対応をされると悪い感情は湧きません。自分の言動で審判とあえて対立的な関係を作るような選手がいる一方で、こういった点でもカズ選手は優れているのだなと思ったものです。

【ワンポイントアドバイス】試合中、副審をよくみてくる選手

相手の最終ラインの位置を把握するために、副審をよくみているFWやMFがいます。「副審のポジション=オフサイドライン」という、副審が最終ラインを常にキープしていることを逆手に取った発想ですが、これにより自分の視野の外をわざわざ確認する必要がなくなります。振り返ってみると、カズ選手や森島寛晃選手、福田正博選手などとは試合中、よく目が合っていたのを覚えています。みんなオフサイドラインから一瞬で抜け出すうまさがありましたが、審判さえも自分のパフォーマンスに生かす賢さを持ち合わせていたのでしょう。


全文は『しくじり審判 失敗から学ぶサッカー審判の教科書』からご覧ください。


【商品名】『しくじり審判 失敗から学ぶサッカー審判の教科書』
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2021/10/15

【書籍紹介】
先人たちの失敗を知り、理解することは
自分自身の成長につながる

プロスポーツはシビアな世界です。
勝った選手やチームは称賛され、負ければ罵声を浴びることが常です。

批判されるのは、何もプレイヤーだけの話ではありません。
ときに、試合(ゲーム)を司る役割である“審判”も批判に晒されることがあります。
いや、審判はほとんど称賛されることがない中で、批判は集中しやすい損な役回りだと言えます。

本書はJリーグ草創期を知るサッカー審判たちの奮闘記です。

Jリーグが開幕したばかりだからこそ起きた
海外のスター選手とのマル秘エピソードや
グラスルーツで審判をする方でも思わず共感してしまうような
“うっかりミス”などが掲載されています。

先人たちが犯した“ミス”を知ることで
審判としての実技レベルが向上することをコンセプトとした
これまでになかったサッカー審判の教科書です。

さらには、サッカーを観る人やプレーする人たちにとっても
「審判から見えるサッカー」を知ることで、サッカーというゲームに対して
より理解が深まることでしょう。

先人たちのマル秘エピソードに笑い、そして学べ!


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