無意識に次のプレーを予測する。解決すべき偶発的局面を繰り返し経験するためのトレーニングとは
2023年06月05日
育成/環境現代のサッカープレーヤーは構造的プログラムの中で日々トレーニングをしている。しかし、実際の試合では自分のプレーが予測していたようにはできずに、新たに解決策を生み出す必要が出てくる。では、そのような偶発的な局面を日々の練習で経験するにはどうすればよいのだろうか。6日発売予定の『フットボールヴィセラルトレーニング 無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[導入編]』より一部抜粋して紹介する。
著●ヘルマン・カスターニョス、監修●進藤正幸、翻訳●結城康平
統計的学習が自然に発生していたストリートサッカー
選手が自分でやらなければならないことを、すでに指導者がやってくれているのだ。もし、選手がしなければならない予測が、すでに指導者によって予測され、解決されているとしたら、どんな予測エラーがあり得るだろうか? 以前に図式化されたことを実行するだけのトレーニングに、どのような知覚の不確実性があり得るだろうか? 遷移が事前にわかっている場合、遷移の確率とは どのようなものなのだろうか? もしそれがすでに指導者によって解決され、そのために私たちは試合の標準化された断片をトレーニングしているのだとしたら、その確率分布にどんな不確実性があるのだろうか?
複雑系では、「与えられた機能内の部分固有の性質は、これらの部分が孤立した状態にあるときには存在しない仮想的なものであり、全体によって、また全体においてでなければ獲得、開発することができない」と言われており、「全体は部分の総和以上であるだけでなく、部分は部分以上に全体の中に、全体を通して存在する」と断言されている。
私たちは賢い選手を求めているのだろうか? 統計的学習によって、試合が提供する情報をリアルタイムで、自分自身で理解し、更新することができることを認めなければならない。
ヴィセラルトレーニングは、予測誤差、知覚の不確実性、遷移確率、同じ確率分布の不確実性を可能にするため、それらによって変数の性格が増えることで統計的学習にとって有利に働く。
統計的学習が、自然に発生していた場所はどこだろう? それは、ストリートサッカーだ。遊び心を刺激するストリートサッカーを際限なく楽しんでいるうちに、少年たちの脳は規則性を知らず知らずのうちに学習していたのだ。
マルセロ・ビエルサは、次のように断言している。
「今のサッカー選手の大半は、構造的なプログラムでトレーニングされてきており、それは才能の育成に逆行する問題だと思う。野性的で自然、自発的なトレーニングこそが最良であり、ルールがない環境で自発的にプレーすることこそが最高だ。以前は、優れたサッカー選手を輩出し続ける大陸があった。しかし、1日に4〜5時間をストリートサッカーに費やし、5〜6年その環境でプレーすることは不可能になった。必要なのは、場所、時間、そしてサッカーへの愛だ。今の少年たちはコンピュータを使い、英語や他言語を学び、音楽を演奏する。彼らは、もう5時間をサッカーに費やすことはない。サッカー選手のトレーニングにおける鉄則は、長い時間プレーすることだ。もしたくさんプレーしなければ、私たちは才能を伸ばせない。なぜなら、自分が解決するべき局面に出会う回数が少ないからだ。サッカーが上手になるということは、そういった局面を多く解決することだ。その解決能力を磨くには、毎日5時間、10年間ストリートサッカーを続けることだ。そのとき、選手は試合でも解決方法を見つけられるようになるだろう」
4〜5時間のトレーニングが不可能になった今、時間を時間のように感じさせる必要がある。そして、ここでヴィセラルトレーニングが再び登場し、現代の生活で不足した時間の問題を解決するのだ。
全文は『フットボールヴィセラルトレーニング 無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[導入編]』からご覧ください。
【商品名】フットボールヴィセラルトレーニング 無意識下でのプレーを覚醒させる先鋭理論[導入編]
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2023/06/06
【書籍紹介】
アルゼンチン発 科学×本能の融合
教育・芸術の創造性にも通ずる「無意識」をトレーニングする新たなパラダイム
神経科学の実用→瞬間的な認知の獲得→プレー実行スピードの加速
アーセン・ヴェンゲルは「サッカーの試合を変革する次のカギは、神経科学だ。次に学ぶべきステップは、脳のスピードなのだ」と言った。なぜなら、現代サッカーは肉体的、戦術的ともにもはや極限のレベルに到達し、リオネル・メッシが1秒でプレーを解決するように、今や無意識下でのプレーを覚醒させるフェーズを迎えているからだ。2022年のカタール・ワールドカップを制したアルゼンチン生まれの「ヴィセラルトレーニング」は、神経科学を実用的に用い、無意識をトレーニングすることで、瞬間的な認知を可能にし、プレー実行スピードを加速させる。ドリルトレーニング、アナリティックトレーニングといった伝統のトレーニングを覆し、エコロジカルアプローチ、ディファレンシャルラーニングのさらに上を行く、「本能、直感を刺激する」先鋭のトレーニング理論がいよいよベールを脱ぐ。
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