自分の守備・カーバーリング・サポートの範囲を理解する。攻守における距離感を養うための制約【スモールサイドゲーム】
2024年04月25日
育成/環境前回の記事では、スモールサイドゲーム(SSGs)において、4つのゴールを設置する制約は守備の練習として適切ではないことを議論した。では、どのような制約が守備の練習として最適なのか。『サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門』より一部抜粋して紹介する。
著●内藤清志
ラインゴール(突破・通過)にすることで、マークとカバーリングの距離感を知る
ゴールの制約として、ゴールを設置しないラインゴール(突破・通過)というのも考えられます。ラインをドリブルで越えたらゴールになるというものです。攻撃側の選手にとっては、横方向の全体がゴールになるため“離れるサポート”を覚えられます。なぜなら、近くにいようと離れていようと常に正面がゴールになるため、ボールを受けたらそのまま真っすぐ進んでゴールラインを突破すれば得点になるからです。また、ボール保持者から離れることによって、ボール保持者にスペースを与えることもできます。(図4)
一方でパスを受けるためにボール保持者に寄ってしまうと、自分のマークも一緒に引き連れていくことになります。すると、本来であればボール保持者が使えるはずのスペースが埋められてしまうこともあります。(図5)
このように周囲の状況によって、離れてサポートするべきか、近くでサポートするべきか、という判断にチャレンジさせたいときには、ゴール前の技術的な難しさが排除されサポートの動きに専念できるラインゴールという制約は適していると考えられます。
守備側の選手にとってもラインゴールはメリットがあります。セカンド・ディフェンダーと表現されるカバーの選手が中へのカバーリングの意識が強すぎると、本来の自分のマークの選手に外側へと逃げられてしまうことがあります。
ゴールの置き位置がゴールラインの真ん中にあれば、結局はゴールを決めるためにボールはゴール前に戻って来るので間に合うかもしれませんが、ラインゴールにはゴールの中央や外側という概念は存在しませんから、外側であろうと前方を突破されてしまえば得点になってしまいます。したがって守備側の選 手はゴールを決められないために、カバーリングだけでなく、自分のマークも逃さない適切な距離を見つけなければなりません。
このようなこともあり、ラインゴールでは1対1のシーンが生まれやすく勝負に負けると突破されて失点につながるため原因(カバーリングが遅れた、あるいはマークがずれたなど)を特定することができます。
ラインゴールの制約によって、自分が守れる幅(範囲)を理解することで、カバーリングやスライドのタイミングも掴むことができるというわけです。
全文は『サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門』からご覧ください。
【商品名】サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2024/03/14
【書籍紹介】
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