SSGsでコーチングはNG?指導者が考えるべき子どもたちの学習プロセスと言葉の役割とは

2024年03月19日

育成/環境

ピッチサイズや人数などに制限を設けたスモールサイドゲーム(SSGs)は子どもたちの能力を引き出す上で重要なトレーニングである。では、制約を課すことで子どもたちを誘導することが目的のこのトレーニングにおいて、指導者はどのように子どもたちにアプローチをすればいいのだろうか。そこで今回は『サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門』より、SSGsでのコーチングに関して一部抜粋して紹介する。

著●内藤清志



(写真●浦正弘)

SSGsでも声かけのコーチングはNGではない

内藤 SSGsでは指導者が制約の操作によって現象を引き出していくわけですが、その制約を選手が理解していなければならないわけで、選手に言葉でルールを伝える必要があります。

植田 よく「制約主導アプローチではコーチは何も喋ったらいけないの?」と質問されるのですが、SSGsで声かけをしてはダメということはありません。ただ単に、コーチの声かけよりもSSGsでの要求のほうが良い学習材料であると言いたいだけです。フリーズをかけて、ボールの止め方、パスの循環のさせ方、体の向きの作り方を言語的に指導するよりもSSGsの中の環境(敵、味方、スペースなど)がより良いアドバイスをくれるということです。しかし、SSGsは制約だけ設定して、あとはゲームをさせるだけということではないんですよ。制約に関する説明はむしろきっちりしますし、どのような制約にどのように反応したかをしっかり観察しますし、さきほどのような言語的なアドバイスも“補強的な”フィードバックとして用います。

内藤 僕の指導経験からですが、子どもたちの表情を観察して、ルールの理解度を測ります。子どもによっては、新しいルールにおっかなびっくりになって、なかなかトレーニングに積極的になれないこともあるのですが、「まずはやってみよう!」とチャレンジを促すだけで、最初はあまり介入しないことがあります。

 逆に何も考えなしに、なんとなくやってしまうような子であれば、最初にフリーズなどで複数回アドバイスをしながら進めていき、プレーのなかで気づきを感じられるようになってきたら、だんだんと声かけの回数を減らしていく。そのあたりのコントロールを自分の中で心がけています。徐々に声かけを増やしたほうが楽しくゲームができるというグループと、最初にうまく説明をしながらだんだんと声かけを減らしたほうがいいなと感じるグループと、それはもう本当にまちまちですね。一律にこうというのは自分の中ではしないですね。子どもだけではなくて大人でも同じです。

植田 ルールの説明というのは重要な制約なんですよね。だから制約に関しての説明はちゃんとして、よく理解させる。理解していないままプレーをしていると思ったらプレーを止めることもある。制約に関わることは言い続けますが、制約によって引き出したパフォーマンスに関してはあまり口をだしません。それは本人が選択したスキルなのでそういうものでいいわけです。

 指導者が肝に銘じてほしいのは、選手はコーチの言語によって学習しているわけではないということです。選手は制約のある環境の中で実際のプレーを通して学習をします。コーチの声かけよりも実際にプレーをすることがより強力な学習ツールになります。コーチの言葉は補助ですよという認識ですね。


全文は『サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門』からご覧ください。


【商品名】サッカー スモールサイドゲーム研究 課題を制約主導アプローチで解決するためのトレーニングデザイン入門
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2024/03/14

【書籍紹介】
エコロジカル・アプローチにもつながる本質的なサッカーコーチングバイブル

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