「個人ありき」ではチームは機能しない。U-12年代までに教えるべき守備戦術の指導法
2018年08月30日
サッカー練習メニュージュニア年代で守備戦術をどう指導すればいいのか…。そんな疑問を持ったことはありませんか?サッカーは個人ありきでチームが機能しているスポーツではありません。グループとしてどう動くか、グループの中で個人が何をしなければならないか、指導者はそこを選手に落とし込まなくてはいけません。ただ、「戦術的にあまりオーガナイズされているチームが少ない」のが今の日本の小学生年代のサッカーの現状です。では、戦術大国であるスペインでは守備戦術ついて、育成年代からどのような指導を実践しているのでしょうか。スペインで指導者として活動している坪井健太郎氏の言葉に耳を傾けます。
文●坪井健太郎 構成●小澤一郎 写真●佐藤博之、Getty Images
『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol41』から一部転載
無鉄砲なプレスをかけてしまう守備はミスの一つ
ジュニア年代において守備を指導するとき、個人としての守備アクション(守備戦術)を身についていない選手にどこから指導すれば良いのか?
ジュニアサッカーに携わる指導者であれば、一度はこうした疑問をお持ちになっているはずです。守備の大枠を理解するといっても、さすがにそれを小学低学年に理解しなさい、というのは無理のある話ですから、年齢、レベル、習熟度に合わせて指導する内容を変えていくことも指導者が考えなければならないことの一つです。
低年齢では自分とボールの関係から始まりますが、年齢が上がるにつれて自分の対峙する守備者、味方、スペースという要素や情報を同時処理できるようになっていきます。1対1に始まり、2対2、3対3と人数が増えていくような感じです。「まず個人を強化してから」という考え自体は間違えではないのですが、実は正解ではありません。
なぜなら、サッカーはチームあっての個人であり、個人ありきでチームが機能しているスポーツではないからです。
育成年代の指導では、年齢が上がるのと同時並行でチームやグループアクションの中で個人が何をしなければならないかを学ぶことがとても大事です。「個を育てる」ということは決して1対1を強化、トレーニングするということだけではないのです。 確かに、1対1をやり込むことで対人プレーの方法は習得できるのですが、グループ、組織でどのようにボールを追い込み、どこでボールを奪うのか、という組織的な守備アクションの中での個人の役割を学ぶ機会がありません。
育成年代の試合において、ボールを誘導するべき選手が「積極的に奪いにいけ!」と言われて無鉄砲なプレスで突っ込んで行き、簡単にプレスをはがされてしまうシーンをよく見かけませんか? 少なくともスペインではジュニア年代の低学年であってもこれは「やってはいけないこと」として認識されていますし、実際にジュニア年代の1部リーグでは前線の選手の無鉄砲なプレスはほとんど見かけません。個人の判断で無鉄砲なプレスをかけてしまう守備は、組織的なプレッシングの全体像を理解していない選手が冒してしまうミスの一つです。
日本の小学生年代では8人制サッカーが採用されていますから、小学6年生までに8人(フィールド7人)での組織的なプレッシングの全体像を理解し、組織的な守備のプレーできなければいけませんし、指導者はそのような選手を育成する義務があります。理想としては、年齢が上がるにつれて多様なサッカー、どんな監督、システムにも対応できるようにするためにも、最低2種類のシステムでプレーすることを理解させたいところです。
そう考えると、ジュニア年代のうちに指導者が教えるべき戦術要素はたくさんあります。ちなみに、私が指導するバルセロナ(スペイン・カタルーニャ州)の小学生年代のトップレベルでは、7人制サッカーの中で スライド、中間ポジションを取ってボールを奪いたいエリアにボールを誘導し、そこでボールを奪うといった守備戦術をごく当たり前のものとして実行しています。ここで一例を紹介しましょう。
カテゴリ別新着記事
ニュース
-
【第49回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会】出場チーム決定!2025.06.18
-
なでしこジャパン(日本女子代表)、国際親善試合(vsスペイン女子代表)と「E-1サッカー選手権」に臨むメンバー発表!2025.06.18
-
「エリート女子GKキャンプU-15」参加メンバー発表!2025.06.17
-
「東北トレセン女子U-13」が開催!2025.06.10
フットボール最新ニュース
-
近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.05.21
-
「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.05.21
-
【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.05.21
-
リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.05.21
-
前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.05.21
大会情報
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2025.03.07
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】フォトギャラリー2025.03.03
-
【卒業記念サッカー大会第18回MUFGカップ 東京大会】F.Cボノスが逆転勝利で優勝を果たす!<決勝レポート>2025.03.01
-
【卒業記念サッカー大会 第18回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2025.02.25
お知らせ
人気記事ランキング
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- 東北トレセンU-13が開催!
- パスやシュートばかりでドリブルしない子ども
- 【第37回全日本少年サッカー大会】決勝大会ジュニサカ取材日記⑥「いよいよ頂上決戦! 技巧の名古屋か、得点力の鹿島か」
- 【第38回全日本少年サッカー大会】石川県大会 決勝フォトレポート&大会結果「豊富な攻撃の形を見せた美川FCジュニアAが、初の石川県代表の座に輝く!!」
- 目に見えづらいスキルを高める方法とは。『危機察知能力』と『オフ・ザ・ボール』の動きの指導方法を学ぶ
- 「何を?」「どのように?」「どこで?」「いつ?」プレーするのかが戦術だ【10月・11月特集】
- 予測不能な攻撃を生み出すDFラインからの組み立て。CBに求められるパス意識とは
- 【第38回全日本少年サッカー大会】東京都中央大会 決勝フォトレポート&結果 「横河武蔵野フットボールクラブジュニアが圧倒的な強さを見せて優勝! 全国大会への切符をつかむ!!」