目新しい言葉にとらわれすぎてはいけない。岩政氏が考察する「良いポジショニング」の基準
2019年03月17日
コラム近年のサッカーは、ポジショナルプレーや5レーン理論など、様々な用語が飛び交っている。しかし、このようなフレーズを「一つの原則の元に語ることができる」との見解を表すのは、鹿島アントラーズや日本代表などでプレーした岩政大樹氏。今回は「良いポジショニングの基準」をテーマに、岩政氏が考えるその本質を探る。
著●岩政大樹 写真●鈴木康浩
『FOOTBALL INTELLIGENCE 相手を見てサッカーをする』より一部転載
機械的に聞こえるフレーズに惑わされてはいけない
“良いポジショニング”には明確な基準があります。特に守備面においてはサッカーをしていれば一度は聞いたことがあるでしょう。
「ボールを持った相手と自分のゴールを結んだ線上に立つこと」
ボールを持った相手への対応で判断を間違えるときは、この原則を外していることがほとんどです。ゴールへの道をあけた角度で相手に対峙すると、ボールを持った相手が“ゴールに直線的に向かう”という選択肢を示した時に、守備者はそれを何としても防ぎにいかないといけないという意思が働くので、それを逆手に取られやすくなります(図1)。
最近では、この原則に囚われないプレスの方法を採用する戦術も見られますが、これらもゴールから遠いエリアにおける限定的なものに限られます。高い位置でのハイプレスで相手を誘導し、ショートカウンターにつなげるための罠として使っているだけで、そこを外された後の自陣での守備においては、ノーマルにこの「ボールを持った相手と自分のゴールを結んだ線上に立つこと」に戻っていきます。それはそうでしょう。結局、最終的に勝負を分けるのは局面における個人の対応になるので、相手に先手を取られる立ち位置では勝てるものも勝てるはずがありません。
問題は攻撃です。
守備における「ボールを持った相手と自分のゴールを結んだ線上に立つこと」という言葉ほど決まり切った言葉はあまり聞かれません。それよりもシステムだとかポジショナルプレーだとか5レーンだとか、何やら機械的に聞こえるフレーズばかり目にします。
ここが肝心で、これらの言葉は本来「相手」に対して優位に立つ立ち方から連想されていった言葉たちなのだと思いますが、捉え方を間違えると言葉から「相手」がいなくなってしまいます。つまり、システムもポジショナルプレーも5レーンも、“そこに立ったら終わり”ではないのに、言葉が一人歩きしていって、本質を理解して使っていないと意味のないもの、本来の「“相手”をうまく外すため」を無くしてしまったものに変わってしまうのです。
ここからは個人的な見解になりますが、私はこれら全ては一つの原則の元に語ることができると思っています。その原則は守備者の原則の正反対にあるものです。
つまり、「ボールを受けたときに、自分と相手ゴールを結んだ線上に相手を立たせないこと」(図2)。
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