鹿島アントラーズジュニアが“同門対決”を制して5年連続13回目の全国へ/第40回全日本少年サッカー大会 茨城県大会
2016年11月28日
大会情報鹿島アントラーズジュニアが5年連続の“同門対決”を制して13回目の全国へ
(文・写真●本田好伸)
11月27日、第40回全日本少年サッカー大会茨城県大会の決勝リーグがケーズデンキスタジアム水戸で行われ、鹿島アントラーズジュニアが5年連続13回目の優勝を果たした。
茨城県大会の最終日は、ノックアウト方式のトーナメントではなく、4チームによる決勝リーグ。6チームが2ブロックに分かれた三次リーグの上位2枠に入った鹿島アントラーズジュニア、鹿島アントラーズつくばジュニア、ばらきSC、FC日立によって争われた。このリーグ戦は、三次リーグで対戦済みの試合は行われず、三次リーグでの結果は決勝リーグの結果として扱われるため、勝敗だけではなく得失点も重要となる。
三次リーグでは、鹿島アントラーズジュニアがFC日立に2-1で勝利し、鹿島アントラーズつくばジュニアとばらきSCの対戦は0-0の引き分け。勝ち点では鹿島アントラーズジュニアが抜け出していたが、すべてのチームに優勝の可能性がある、一瞬も気の抜けない混戦必至の戦いが幕を開けた。
1試合目で強さを見せたのは鹿島アントラーズつくばジュニア。FC日立を相手に個人技術の高さを生かした厚みのある攻撃を繰り出すと、前半終了間際に松田有生くんのミドルシュートと、ドリブル突破から生まれた連続得点で2点を先行。鹿島アントラーズつくばジュニアは後半に1点を返されながらも2-1で逃げ切った。一方、同時刻にキックオフしたもう1試合、鹿島アントラーズジュニアとばらきSCの一戦は、両者ともに決定機をつくりながらもゴールを奪うことができず、スコアレスドローでの決着となった。
この結果、茨城県代表の座は三つ巴の戦いに。続く“アントラーズ対決”で勝敗が付けば、勝ったチームが優勝、引き分けた場合は、ばらきSCがFC日立に勝利した上で、得失点差の争いとなる。試合前から選手たちの緊張感が高まり、試合を見守っていたスタンドの応援も一層、熱気が増していた。
迎えた2試合目のキックオフ。2009年大会から7年連続でベスト4に残っている“カシマ”と“アンつく”は、その歴史上、一度も“アンつく”が上回ったことはない。しかし今大会は、下馬評でも、勢いでも、鹿島アントラーズつくばジュニアが優位に立っていた。そしてそのことを示すように何度も相手ゴールに襲い掛かっていたが、再三のチャンスを逸したことで流れを呼び込めず、逆に先制したのは鹿島アントラーズジュニアだった。
前半終了間際に左サイドでFKを獲得すると、岡野楽央くんが蹴ったボールは直接ゴールイン。キャプテンの前田航星くんが、「セットプレーが武器だと自覚しているので、毎日自主的に練習していました。(キッカーの)岡野くんはキックの精度がすごく良いので、ずっと任せています」と振り返った通り、自分たちの得意な形からの得点に、試合のペースは徐々に鹿島アントラーズジュニアへと傾いていった。
そして後半2分、この試合で何度もドリブル突破を仕掛けていた小棚木蒼大くんがエリア内で倒されてPKを獲得すると、これを自分自身で決めて追加点。さらに後半8分に塙仁成くん、後半17分に伊藤遙大くんのゴールで突き放して試合を決定付けた。鹿島アントラーズつくばジュニアも意地を見せ、終盤に佐藤雄くんの左足シュートで1点を返したものの反撃はそこまで。4-1で鹿島アントラーズジュニアが激闘を制した。
一方、ほぼ同時刻にタイムアップを迎えたばらきSCとFC日立の一戦は、後半に1点ずつを奪い合って1-1で引き分けた。この結果、文句なしに鹿島アントラーズジュニアが5年連続13回目の全国へ。小谷野稔弘監督が「大会前も大会中も、ちょっと厳しいかな……と感じていた」と謙遜したが、終わってみれば随所に勝負強さを見せ、茨城県大会の9試合で46得点2失点という、“王者”の名にふさわしい戦いぶりを披露した。
前回の2015年大会、鹿島アントラーズジュニアは全国で準優勝。控え選手として大舞台を経験し、先輩たちの悔しさに溢れる後ろ姿を目に焼き付けたのはGK木村和輝くんと主将の前田くん。「自分たちの代が始まった時から、全国大会で優勝することを目標にしてきました。今日あまり良くなかったところを改善して臨み、優勝して大会の歴史に名前を刻みたい」(前田くん)と、全国で借りを返す意気込みは十分だ。
2013年大会以来となる頂点奪取へ──。年の瀬の鹿児島で、“カシマ”が2度目の日本一を狙う。
■鹿島アントラーズ キャプテン・前田航星くんのコメント
優勝できてすごく嬉しいです。この試合は、全員が勝ちたいという気持ちを持って、球際やプレスにも素早くいけましたし、ゲームコントロールが自分たちの中でもすごく良かった点だと思います。茨城県大会で優勝することもそうですが、自分たちの代が始まった時から全国大会で優勝することを目標にしてきたので、その舞台で通用するように、今日あまり良くなかったところを改善して全国に臨みたいと思います。トップレベルのチームに勝って優勝して、大会の歴史にアントラーズの名前を刻みたいです。
■鹿島アントラーズジュニア 小谷野稔弘監督のコメント
1試合目で勝てなくてどうなるかと思っていましたが、2試合目は気持ちが入った良い時の彼らの戦いができていましたし、自分たちを信じてよく頑張ってくれました。全国に向けては、個々の能力ではまだ全然足りていないので、個人のところとチーム力を、残りの1カ月で伸ばしていきたいと思います。技術的には他のJリーグの育成組織やトップレベルのチームには劣りますが、それを補う部分、メンタリティーなどはしっかりと準備していますし、試合に臨む姿勢はブレることなく、トップチームと同様に戦っていきます。
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