伝説のGKに憧れて――。少年時代には”世界”を体験した若き守護神・中村航輔のサッカー人生のはじまりとは

2017年09月04日

コラム

浅野拓磨選手や井手口陽介選手などリオ五輪世代が躍動し、ロシアW杯出場を決めたサッカー日本代表。こうした若手の選手にも注目が集まる中、9月6日発売となる『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.46』では、若き守護神・中村航輔選手にインタビュー取材を敢行。今回はその一部を紹介する。

取材・文●元川悦子 写真●Getty Images

ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.46』より一部転載


Kashiwa Reysol v Kashima Antlers - J.League J1

小学5年生から柏レイソルの育成組織に

 江戸時代に八代将軍・徳川吉宗が桜を植え整備した飛鳥山公園があり、19世紀には日本初の洋紙会社・王子製紙が創業するなど、東京北部の工業地域として発展を遂げてきた王子。

 この地で95年2月に誕生し、成長したのが中村航輔だ。奇しくも、柏が待望のJ1昇格を果たし、現在の日立柏サッカー場が完成したのもちょうどこの年。未来の守護神は目に見えない運命に手繰り寄せられ、黄色のユニフォームを身にまとうことになるのだ。

 両親に3つ上の姉という家族構成の中、航輔少年は愛情を注がれて育った。「航がわたる、輔が2番目という意味を込めて両親が命名したと聞いています。呼びやすくて、いい名前ですね」と本人も言う。逞しく成長してほしいという家族の願い通り、彼は外に出て遊び回る活発な幼少期を過ごした。

 本格的にサッカーを始めたのは、小学校1年の時。東京北区で熱心に活動している町クラブ・コアラサッカークラブ(SC)に入ったのがキャリアのスタートだ。

「僕が『サッカーをやりたい』と言ったら、親が探してきた近くのチームがコアラSCでした。王子近辺の子どもが集まっていて、1学年10人、全体で50人くらい。週3回練習していました。指導もきちんとしていて、ドリブルやパスといった基本とゲーム中心の練習をしていたと思います」と彼は小学5年まで過ごしたチームの活動内容を説明する。

 ポジションは当時からGKだった。航輔少年がコアラSCに通い始めたのは、2002年日韓ワールドカップで日本中が大いに盛り上がっていた頃。

 優勝したブラジルのロナウド、リバウド、ロナウジーニョの「3R」、イングランドの貴公子、デビッド・ベッカムも人気を博したが、準優勝したドイツのオリバー・カーンも一世を風靡した。独特のオーラを漂わせる勇敢な守護神に航輔少年は魅了され、GKへの思い入れを強めたという。

「2002年の決勝もテレビで見ましたけど、男の子が憧れるかっこよさを持っていたのかなと。優勝したブラジル以上にインパクトが大きかったような気がしました。僕自身もシュートを止めることを楽しんでいたし、その魅力にはまった感じです」と彼は言う。

 カーンに憧れ、うまくなろうと日々の練習に取り組んでいた航輔少年は、コアラSCの活動だけに飽き足らず、小5からは柏のスクールにも通い始めた。「学校の同級生も行っていたし、王子なら他のJクラブより柏が近いから」というのが理由だった。

 そこで彼の潜在能力の高さを見抜いたのが、スクールのサポートに来ていた柏ラッセルスポーツクラブの藤川豊彦代表。「この子はそんなに大きくないけど、やたらにシュートを止める」という話を聞きつけ、柏U-12の酒井直樹監督(現日本体育大学柏高校監督)も強い興味を抱くようになったようだ。

「週2回くらいスクールに来ていた航輔は『コアラ顔』と言われていた(笑)。それを懐かしく思い出します。藤川さんから情報を聞いて、セレクションを受けてもらうことになり、僕もその過程に携わりましたけど、200人以上受けに来て合格したのは彼1人。それだけ光るものがあったのは確かです」

 セレクション前には父が自主トレにつきあってくれた。ラグビーをやっていた父はコアラSCの試合前、あるいは日曜日の早朝に黙々とボールを蹴り、息子のGK練習の相手になった。家族の努力もあり、航輔少年は柏のアカデミーの一員になれたのだ。

「ここからが頑張りどころだな」

 父から言われた一言を胸に秘め、小6になった彼は王子から柏まで片道約1時間半の距離を週5回、黙々と通うようになった。

 当時の柏U-12には同じタイミングでプロになった秋野央樹(湘南ベルマーレ)、木村裕(Vファーレン長崎)らがいて、非常にレベルが高かった。航輔少年はいきなりダノンネーションズカップ国内予選で優勝し、夏の全日本少年サッカー大会も準々決勝まで勝ち上がるなど、コアラSC時代には体験したことのない世界に足を踏み入れることになる。

 同じ2006年秋にはダノンカップ世界大会にも出場。フランスのリヨンへ赴き、強豪クラブのジュニアと対戦する貴重な経験をした。

「何もかもが初めてだった海外遠征なんで、町がどうだったとか、どこに見学に行ったとかは覚えてないけど、対戦相手はみんなすごいうまくて強かった。異国の環境を知るいい機会になったと思います」と柏入りした時点でプロを本気で目指し始めた小6の少年は、世界の凄さを思い知ったようだ。

(続きは9/6発売予定の『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.46』にてお楽しみください)


ジュニサカ最終表紙_s
【商品名】ジュニアサッカーを応援しよう! VOL.46
【発行】株式会社カンゼン
2017年6月6日発売
A5判/並製/176ページ
◆特集 引き出せ!子どものやる気スイッチ
◆【付録DVD】
動画で学ぶ!KOBA先生のジュニア体幹Balanceトレーニング 他
<おもな企画>
●壁を乗り越える心の持ち方/石川直宏(FC東京)
●こんなとき子どもは何を考えている? 言動・行動で分かる子どもの深層心理
●名将に聞く、子どものやる気スイッチ など
●子どもは認めてあげたら自然にやる気が沸き起こる


 

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