コラム

アドバイスすると機嫌が悪くなる息子

2012年07月24日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みはお子さんへのアドバイスの仕方についてのご相談です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学5年生の保護者)

小学5年生と2年生の息子がいます。2人とも去年からサッカーを始めました。弟の方は、ボール遊びといった感じで、楽しくサッカーをしています。兄の方は、サッカーをはじめて1年、基本的なことはほとんどわからない、できない状態のままで、同学年の子と練習しています。そこで少しでもみんなに追いつこうと、家で一緒に練習をするのですが、「できない、できない」などと言っては、同じ失敗をくり返すので、「同じことをしていても、だめだよ」とか、「工夫してごらん」「○○してみたら?」など、こちらがアドバイスするのですが、とたんに機嫌が悪くなってしまい、アドバイスを聞き入れません。どうやったら、こちらのアドバイスを素直に聞き入れてくれるようになるのでしょうか? それとも、アドバイスなどせずに、自分で気づくのを待つべきなのでしょうか? 家で、自分から練習することはほとんどありません。しかし、サッカーが好きだと言って、喜んで練習には行きます。

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自発的な取り組みが真の成長を促す
「何か手伝えることはある?」と尋ねて

 周囲より少し遅い4年生からのスタートで、一番戸惑っているのはお子さん本人でしょう。「できない、できない」と口に出しているのですから。今、お子さんは周囲よりも劣ることの辛さがあるなかで、サッカーの楽しさも感じている。だから喜んで練習には行くのでしょう。子どもは自分のなかで戦っている――ぜひ、そうとらえてください。

 そもそも、わが子が「できない」ことに、本人以上にいら立っているのは親御さんではないでしょうか。ここは、なかなか結果を出せないでいるわが子を黙って見守ることが、親の役目だと考えてください。今はまだ入り口のところにいますから、もう少し長い目で見てあげませんか。

 あれをしろ、これをしろではなく、例えば、子どもに「お父さんが何か手伝えることはある?」と尋ねてあげてください。「何もないよ」と言えば、ほっとけばいいのです。このコーナーでも以前お伝えしたかもしれませんが、子どもが自発的に取り組むことでしか、本当の成長は得られません。

 私の娘は算数が苦手でした。6年生になったら、初めて私のところに来て「教えて」と言ってきました。「じゃあ、1+1は?」と尋ねたら。「そんなのはわかってるよ」とプ―とふくれましたが、「最初からやっていけば、どこでつまずいたかがわかるよ」と話すと、簡単な問題から取り組んでいきました。その結果、「あ、ここからわからなくなったんだ!」と自分で気づくことができ、そこから算数が苦手科目ではなくなりました。

 気づくことができれば、自分から取り組めるようになります。
 子どもから手伝ってあげられることは何もないと言われて、「じゃあ、勝手にしろ!」とへそを曲げたりしないでください。「いつでも言ってきてね。手伝うよ」「君の力になるよ」という姿勢を一貫して見せておきましょう。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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