コラム

コンタクトプレーを嫌がる子ども?

2012年08月07日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みは球際などでコンタクトプレーを嫌がるお子さんについてのご相談です。

◎練習(トレーニング場面での悩みやギモン)

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(質問者:小学3年生の保護者)

息子は、現在小学3年生です。2年生の11月よりサッカーをやりたいといい、将来、自転車で通えそうなチームをすべて体験し、本人の意思で、一番強いクラブチームに入りました。練習についていけるようにと、毎晩リフティング、ドリブル、パスなどの練習を親子でしました。その結果、リフティングは100回超えてできるようになり、クローズトスキルならチームの真ん中ぐらいまで来たと感じます。しかし、オープンスキルになると、まるで駄目です。もともと、気がやさしくおとなしい子なので、体が接触するのを嫌がっている感じです。「相手の体にぶつからないとボール奪えないよ」と、しつこく言った日は、ちゃんとしますが、言わないとやりません。最近は親子でオープンスキルの練習ばかりをしていて、全然躊躇(ちゅうちょ)する感じはないのですが、チームの練習では自信がない感じです。でも、仲のいい友達は何名かできてとても楽しそうです。このまま、見守っていればいいのでしょうか?

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大人が間違った情報を与えないように。
体を寄せなくてもボールを奪う方法はある

 「相手の体にぶつからないとボール奪えないよと、しつこく言った日は、ちゃんとしますが、言わないとやりません」
  大人の思い込みで、お子さんに間違った情報を与えていませんか。私は上記の部分が引っかかりました。なぜなら、相手の体にぶつからなくても、ボールは奪えます。オシムさんはよくこんなことをおっしゃっていました。

 「体の小さい子は、相手にぶつからないほうがいいよ」と。
  無理に体を寄せなくても、ボールを奪う方法はいくらでもあります。回り込む、相手がボールを置く位置を読んで先回りするなど、プロの選手でもそういったプレーをしている場面はいくらでもあります。

 また、気がやさしくて内気な子が全員接触プレーが苦手なわけでもありません。親御さんがあまり思いこみで子どもを判断せず、それぞれの身体的な特徴やプレースタイルをきちんとみてアドバイスしてほしいと思います。

 「毎晩リフティング、ドリブル、パスなどの練習を親子でし、その結果、リフティングは100回」とあります。強豪チームに加入して、親御さんとお子さんの二人三脚で懸命に練習しているようですが、これはお子さんから「やりたい!」と言ってやっていることでしょうか。であればよいのですが、この相談文を読んで、私が真っ先に思ったのは「あまり追い込み過ぎてサッカーを嫌いにならなければいいなあ」ということです。どうかその部分も気をつけてください。

 最後に、ひとつ言わせていただくと「リフティングが上手くなると、サッカーは下手になる」というのが私の持論です。以前このコーナーでもお伝えしましたね。

 プレーの出来不出来よりも、「チームの練習で自信なさそうにやっている」姿に着目してください。例えば、「ダメだ、ダメだ」とあまりに言い過ぎていませんか? ミスを怖がることはサッカー選手としてはいいことでありません。また、それ以上に、親の目を怖がってプレーしてはいないか。そのことをいま一度よく考えてみてください。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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