コラム

試合を経験する機会が少ない

2013年01月08日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は試合経験の少ない子どもたちについて保護者の方からのご相談です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学5年生の保護者)

 息子のチームでは、練習試合を年間ほんの2、3回しか行いません。大きな大会が春と秋、小さな大会に年間4つくらいエントリーはしていますが、あまり強いチームではないので、トーナメント2回戦くらいで負けてしまい、試合をする機会というものがなかなかありません。それ以外に、週末に練習試合があればよいのですが、コーチのつながりがないのか、なかなか練習試合を組んではくれません。 練習はチームで週2、スクールで週2やっていますが、実戦経験が乏しいのか、いざ大会になると、試合の仕方を知らない、というか広いピッチの動き方がわからないようなことや、当たり負けをしてしまうとか、先制されると気持ちからくずれていってしまう、といった場面が多くあります。やはり、練習だけでは、そういったことはなかなか身につかないものなのでしょうか。チームを変わることを考えていますが、もうすぐ6年生なので、チームを変わっても結局試合に出られないのでは意味がないのでは?と思うと、ジュニア年代はレギュラーでいられる今のチームでやった方が息子のためなのかな、とも思ってしまいます。アドバイスいただけるとありがたいです。

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普段から実戦的な練習をすること。
コーチと大人の話し合いを

 練習試合でも公式戦でも、ゲームをすること自体はよいことです。ですが、それ以上に普段の練習の中でどれくらい実戦的なメニューをやっているかが大きな問題です。ミニゲームや2対1、2対2から4対4の対人練習、ミニゲームなどは行われているでしょうか。

 もし、そのような練習になっているのだとしたら、あとは、子どもたちがそれらの練習をどう活かせるか、でしょう。狭いコートの練習の中からでも、大きなコートになったときに使える技術や能力はたくさん養えます。子どもたちが大きなコートになったときに、「あ、練習のときのあの場面と同じだ!」と狭いコートでやったことを思い出せるかどうか。そこに気づけるようになれば、それが練習を「活かす」ということです。

 それには、子どもたち自身の考える習慣や気づく力が必要ですが、やはり指導の質も多少なりともかかわってきます。もし、指導者が「うちはいつも小さいコートでやっているから、大きいコートで試合をやるとうまくいかない」とぼやいているのであれば、難しいかもしれません。

 とはいえ、ご相談の方は保護者で指導にはかかわっていらっしゃらないようです。ピッチのなかのことですから、ここは基本的にコーチに任せるしかないのですが、もし心配ならコーチにご自分の考えを話してみてもいいかもしれません。「外から見ていてこんなふうに見えるのですが」とあくまでも大人の態度で丁寧に話してみてはいかがでしょうか。

 最後に息子さんがチームを替わる点についてです。もう5年生の3学期ですから、私はこのまま同じチームにいたほうがいいと思います。他のチームに移ることは悪いことではありません。しかしながら、もっとも優先すべきは、お子さんの気持ちではないでしょうか。

 親御さんは練習試合が少ないことや、勝てないことをとても心配されていますが、果たしてお子さんはどのように感じているのでしょうか。その点を確かめたうえで、お子さんが「チームを移ることを真剣に考えたい」と言ってきたら、力を貸してあげてください。逆に、お子さん本人は負けが多いことは残念ではあるけれど、それなりに楽しくサッカーができている、ということであればこのまま卒団させたほうがいいですね。

 「狭いコートで練習していても、試合で役立つことはたくさんあるよ」とそんなふうに、子どもが自分で気づけるような声がけをしてあげてください。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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