コラム

池上コーチの一語一得「息子が試合には出られない状況が悔しい」

2013年10月08日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は試合に出られないお子さんについて、親御さんからのご質問になります。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学6年生の保護者)

6年生の息子がいます。今までスタメンで出場していましたが、ミスが重なり、レギュラーを外されてしまいました。この2ヶ月、試合に出してもらっていません。出ても2分くらいです。その2分で「チャンスをやったのに、活躍できない。そんな下手くそは辞めてほしい」といわれて帰ってきました。技術的にはそこそこだと思います。決してうまい選手ではありませんが、他にスクールにも行っていますし、何よりサッカーが大好きで監督から罵倒されても今まで続けてきました。
しかし、今までの努力は全く認めてもらえません。「一生懸命やっても、下手くそは所詮下手くそなので、うちのような強いチームでプレイしてもらわなくて結構、違うチームに行ってください」といわれたのです。どういう真意か監督に直接聞けばいいのですが、以前直接聞かれた保護者の方は「僕の方針にケチをつけるのなら辞めてください。辞めるでいいですね」と言われ、子どもの意見を聞かず(子どもは辞めたくなかったようです)辞めていかれました。うちの息子は、このチームで最後までやりたい、下手くそでも罵倒されてもやりたいと言いつつ、試合に出たくて出たくて、陰で泣いています。
監督の指導方法は、子どもを自分の駒のように動かし、自分の意に沿わない動きをした子どもは試合に出してもらえません。もちろん、下手な子は論外、練習だけで試合出場時間は2分で「全員出場させてます。」と自慢します。
保護者として、このまま息子が考えているように続けさせるのが正解なのでしょうか。私としては、今からでも違うチームへ移籍して、たとえ公式戦に出られなくても、強いチームでなくても試合に出場してサッカーを楽しんでほしいと思うのですが、本人はどうしても辞めません。保護者としても、他のお子さんの活躍話を聞かされるのが苦痛でなりません。祝勝会の集まりでも、子どもの思いをくんで、楽しまなければと思うのですが、息子が試合には出られていない状況が悔しくて楽しむどころではないです。親の勝手だとは思うのですが、親も子もつらい思いをしなければいけないようなチームを無理矢理でも辞めさせてはいけないのでしょうか。

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試合に出られなくて一番悔しいのは本人
感情的にならず、ゆったり見てあげて

 親御さんとしては、お子さんの本音を聞き出すのが大事になります。いろいろ話し合った結果、それでも本人が「ここにいたい」と言うのなら、そうさせてあげればいいと私は思います。もう6年生ですから、仲間と一緒に卒団したいのかもしれませんよ。

 例えば、「自分からコーチに聞いてごらん。試合に出るためには僕はどうしたらいいでしょうか?って。ミスが続いたのだから、ミスしないためには何を意識したり、努力したらいいかを聞いてみたら?」とアドバイスしてあげてください。

 一方で、ご相談の文から感じるのは、子どもよりも親御さんのほうが入れ込みすぎるような気がします。もう少しゆったり見てあげられるといいですね。
例えば、この一文。

「他のお子さんの活躍話を聞かされるのが苦痛でなりません。祝勝会の集まりでも、子どもの思いをくんで、楽しまなければと思うのですが、息子が試合には出られていない状況が悔しくて」云々、とあります。

 正直な感情かと思いますが、試合に出られなくて、一番悔しく、悲しいのは息子さんです。支えてあげるべき保護者が、このように感情を揺さぶられていては、お子さんはもっと傷つくのではないでしょうか。

 さらに「たとえ公式戦に出られなくても、強いチームでなくても試合に出場してサッカーを楽しんでほしい」とあります。

 出られなくてもいい、と書いてから「試合に出場して楽しんでほしい」と記されています。矛盾していますね。恐らく動揺したままメールをお書きになったのでしょう。

 お子さんは、もしもう少し力が下のチームに移籍して、また試合に出られなかったら、お父さん(お母さん)を傷つけてしまう、悲しませてしまうと、心のどこかで恐れているのかもしれません。

 子どもにそのような気を使わせてはいけません。

 一生懸命頑張っているけど、ミスが重なってしまい、スタメンを外された息子さんがもっとも傷ついています。

「中学になれば、またチャンスはあるよ。次がないわけじゃないよ」と励ましてあげてください。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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