池上コーチの一語一得「転居して入った地元クラブで……」
2014年02月18日
コラム池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は転居したお子さんが直面した町クラブでのお話です。
◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)
(質問者:小学4年生の保護者)
私の息子は、転居して地元の町クラブに入団しました。うちの子どもは運動が得意ですが、特にセレクションやトレセンを受けるまでのレベルではありません。チームもそんなに強くありません。
今のチームでは、最初のうち試合でこれでもかというほど、パスを出され、それなりに得点をあげたら、うちの子にパスを「出せ出せ」と指示していたコーチが、だんだんそのコーチの子どもが得点をしないと、そのコーチ自身の子どもに「馬鹿」とか「やめろ」とか言うようになり、それがおさまったかと思えば、今度はそのコーチの子どもがうちの子どもに試合中一本もパスを出さなくなり、試合中うちの子のプレーをけなしたりし、そのコーチもうちの子どものプレーをただ怒鳴ってけなすようになりました。そこのお子さんが以前、一番できる子だったようです。
お父さんコーチについては、いい点も、悪い点も、見たり聞いたりしてきましたが、親子でというのは聞いたこともありません。得点をとるポジションにいて、今は試合中一本もパスを出されない状態です。(受けられる場所に動いて呼んでいますが来ない)また、敵のボールを自分で取るとドリブルコースをふさぐように、そのコーチの子が寄ってきます。
これまでのパスを全部出してこられるのも困っていましたが……。コーチはそれまでの試合で、ずっと大声で怒鳴って指示しているタイプでしたが、今は前よりずっと静かです。他のコーチやチームメイトは、常識的な子どもだとは言っています。練習や試合は休まず行っていますが、チーム内でそんなことをやっているので、最近はすごい点差で負けて、息子は「つまんない」「行きたくない」と言っています。慣れてきて、チームの様子を見ると、やめた子やずっと休んでいる子は、うまい子や運動の得意な子も多いです。少しずつ、他の親御さんにもいろいろ聞こうとは思いますが。小さいころから頑張っているサッカーがこんな状態で可哀想に思うのですが、どうしたらよいでしょうか。
負けるから行きたくないのか、他の理由があるのか。
本人の話をよく聞いて判断を
知らない土地にお引っ越しされて加入したチームなので、親御さんとしても心配ですね。子どもが慣れてくれるだろうか、とか、楽しくサッカーができるだろうかといったことが気になるのは当然です。
私はこの連載でいつもみなさんに伝えていますが、プレーするクラブを選ぶ際は、最初にいろいろなことを調べてみることが大事です。子どもの数が多過ぎず、少なすぎずで、いわゆる適正の人数なのか。指導者の数や雰囲気はどうなのか。楽しくサッカーができて、そのうえで成長できそうなクラブかどうか。その子の技量と合っているのか。いろいろな要素を子どもと一緒にチェックすることは必要です。
そのうえで、体験してみて、子どもが「ここでサッカーをしたい!」と言ったチームを選ぶのがベストなやり方でしょう。
相談の前半は、お父さんコーチの子どもさんのお話ですが、まだ4年生ですので、その子自身も変わっていくかなと思います。また、そのお父さんコーチはずっとその学年を担当するのでしょうか? 担当を替わる場合も多々あります。
最近はすごい点差で負けて、息子は「つまんない」「行きたくない」と言っています――。最も気になるのは、この部分です。それが、いつも負けてしまうから行きたくないのか、それとも他に理由があるのかをもう少し具体的に本人の話を聞いてあげたほうがいいでしょう。
「やめた子やずっと休んでいる子は、うまい子や運動の得意な子も多い」とありますが、お子さんもうまい子はやめていくチームだと感じて心が離れているのかもしれません。「もう行きたくない」という気持ちが本当に強いなら、他のチームをあらためて一緒に探してあげてもいいでしょう。その際、冒頭で挙げたクラブの選び方を参考にしてください。
加えて、「小さいころから頑張っているサッカーが、こんな状態で可哀想に思う」ということですが、時として親の「かわいそう」という感情は、子どもに対して過干渉になる素になることがあります。もう少し冷静にみてあげてください。
時間を置いて、さまざまな角度からわが子の姿やクラブのありようを眺めたとき、移籍以外の方法が見つかるかもしれません。
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 【AFC U17女子アジアカップ インドネシア2024】U-17日本女子代表メンバー発表!2024.04.15
- 「JFAナショナルトレセンU-12関西」が開催!2024.04.11
- 「東北トレセンU-13」が開催!2024.04.10
- 【AFC U23アジアカップ カタール2024】U-23日本代表メンバー発表!2024.04.08
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.22
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.22
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.22
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.22
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.22
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
ADVERTORIAL
ジュニアサッカー大会『2024'DREAM CUPサマー大会in河口湖』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- 自分よりも大きくて速い選手も1対1で抑える。内田篤人から学びたい守備時の姿勢【フィジカルのプレーモデル】
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- フォームの意識だけではキックは改善しない。キックの名手たちの共通点とは【フィジカルのプレーモデル】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- 「街クラブ選抜チーム」セレクション募集開始!【U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2024 】
- 4ゴールのゲームは守備の練習にはならない!? 課題となるタスクから逆算し正しく制約を課す【スモールサイドゲーム】
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- 三笘薫のドリブル・カットインの秘訣に迫る。1対1で相手を抜き去るための“沈む動き”とは【フィジカルのプレーモデル】
- 「部活」の在り方とは。公立中学校サッカー部の実態を探る