コラム

池上コーチの一語一得「ケガで長期離脱しリハビリ生活に」

2014年05月13日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回はケガで長期離脱しているお子さんについて、親御さんからお悩みの質問です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学5年生の保護者)

小学5年生の保護者です。息子が夢や希望を失いかけてます。幼稚園のときからフットサルをしており、小学4年から地元のサッカーチームに入団しました。しかし、そのチームの学年担当コーチはとにかく試合中暴言を吐きまくるという表現がピッタリくるくらい叫びまくってます。自分の思うように動かない選手は使ってくれなくなります。息子は入団前まではとてもイキイキとサッカーをしてましたが、ここに所属してからは言うこと聞かないと試合に出してもらえないのでロボットのようなサッカーをしてました。
息子のようなフットサルあがりのプレイヤーは嫌いなようで、嫌がらせのようにスタメンを外されベンチを1年温めてました。しかし最高学年に上がる前に、チームの代表コーチと2人体制で指導する機会が増え、そこでやっと息子はスタメンでフル出場することができるようになりました。今までの悔しさ努力が報われたと少し輝きを取り戻しつつありました。
しかし、これから公式戦に向けてという矢先にチームメイトから暴行を受けて重症を負い、サッカーさえできなくなりました。サッカー選手が顔面を蹴るという始末です。最初は対応をコーチに任せたのですが、なぜか一方的に暴力を振るわれたのにも関わらず、ケンカなので握手で和解と終わってしまいました。後は逃げる一方。あれだけ暴言吐いてやりたい放題やっていたコーチは一体何だったんですかって感じです。
そこで質問があります。今頭部打撲と頸部捻挫で半年くらいはリハビリなど受けなければいけません。今のところサッカーができるのかもわかりません。私は今の息子に少しでも夢や希望を持たせてあげたいと思っています。それでも息子は、今のチームのコーチには不信感がいっぱいで、「戻ってサッカーを」という気持ちはなさそうです。もし半年で軽い運動ができるとして、今後中学に入るまではリハビリ・自主トレを中心にチームを外れて一人で今後に向けて動けるかどうか。少なくとも好きだったサッカーを続けてもらいたいし、高校選手権など目標を持ってサッカーに復帰してもらいたい思いが親としてあります。
そこで、どんなサポートができるのか。本当に一人で練習して乗り越えていけるものなのか不安があります。夢や希望を失いかけて孤立している息子を助けてあげたいと思っています。ぜひ池上コーチの助言を頂けたらと思います。

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まずは子どもときちんと話をし、
今後どうしたいのかを尋ねましょう

 私自身は、指導者は保護者といろいろな話がざっくばらんにできる環境を整えたほうがいいと思っていますが、実際にはなかなか難しいようです。

「親の意見をいちいち聞いていられない」とおっしゃるコーチの方が多いと実感しています。「親の希望を聞いていると、方針がブレる」という意見もあります。だとしても、私は意見交換できる環境を整える必要があると思います。

 もし、保護者の方がコーチの方が機嫌のよいときに話すことができるとしたら、例えばこのような言い方でしょうか。

「できれば、いつも同じ精神状態で接してくださいませんでしょうか。いかがでしょうか?」

「昨今はスポーツ現場での体罰が問題になってますよね。言葉の暴力もダメみたいになっているみたいですよね?いかがでしょうか?」

「体罰の問題もあって、今は言葉で選手を責めるのではなくて、違う指導方法が推進されているようですね。子育てをする私たちも勉強したいので、例えば地域のJリーグのコーチの方などに話をしていただく機会など作ってみたいのですが。いかがでしょうか? そのときに、コーチもぜひお話ししていただけますか」

 できれば、保護者の方みなさんで相談をして、そのように申し出てみるとよいかと思います。

 コーチに対しても子ども同様、ああしろ、こうしろではなく、どう考えていますか? と意見をうかがう姿勢を見せましょう。そのときはそっけなくても、自分に求められていることが何かと言うことに気づき始めるかもしれません。

 基本的に、医者と相談しながらまずはリハビリをやっていくのが先決かと思います。とにかくゆっくり治して、運動ができる体にきちんとしていくべきです。「戻ってサッカーを、という気持ちはなさそうです」とありますが、チームでそのようなことがあれば無理もないことでしょう。中学から気分を一新してサッカーに取り組めるといいですね。

 一方で、御相談の文章を読んでいて気になることがひとつありました。

「もし半年で軽い運動ができるとして、今後中学に入るまではリハビリ・自主トレを中心にチームを外れて一人で今後に向けて動けるか」

「好きだったサッカーを続けてもらいたいし、高校選手権など目標を持ってサッカーに復帰してもらいたい思いが親としてあります」

 これらは、親御さんがおっしゃっているように「親の思い」ですね。お子さんはどう考えているのでしょうか? 文中、どこにもお子さんの気持ちを聞いたり、話し合った形跡が見られないことが心配です。

 まずは、子どもときちんと話をして、今後どうしたいのかを尋ねましょう。そのうえで、子ども自身にどうするかを決めさせることです。

「けがが治ったら、どうする?」「どうしたい?」「どうしたらいいと思う?」例えば、そのような問いかけ。それは他のチームでやるのか現在所属するチームなのかも含めて、です。そして、中学でどうするかも話し合ってください。

「夢や希望を失いかけて孤立している息子を助けてあげたい」とありますが、この部分でも実際にどんな様子なのかは私にはつかめません。もしかしたらですが、お母さんからそのように見えるけれど、実際はそんなに深刻な気分じゃないかもしれません。

 万が一深刻だったとしたら、お母さんがそのようにサッカーのことで気をもむのは、息子さんにとってストレスかもしれません。そのような場合、親は「サッカーがすべてじゃないよ」と言ってあげたほうがよいでしょう。

池上さんコラム

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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