なぜドイツでは点取り屋が生まれるのか? 育成現場から探る、決定力不足解消のヒント
2014年06月27日
コラムゲルト・ミュラー、ユルゲン・クリンスマン、ミロスラフ・クローゼら世界を代表する点取り屋を生んできているドイツ。その地では一体、“ゴールをとる”という才能を伸ばすためにどういった育成が行われているのでしょうか? そこで今回は、10年以上ドイツの育成現場に立つ中野吉之伴氏がゴールをとるための独自の指導法、練習の作り方、また日本との違いについて語ったお話を紹介します。
構成●木之下潤 写真●Getty Images
『ジュニアサッカーを応援しよう! vol.32春号』P041-045より転載
重要なのはリスクを冒してシュートを狙う気持ち
私の記憶において『ゴールを決められる選手になる』というテーマで脳裏に浮かぶのは、ドイツ代表のFWルーカス・ポドルスキです。幼い頃は内気で大人しく、FWと言ってもウイングタイプで点取り屋ではなかったそうなんです。
ただ、左足のキックが正確でとても力強かったと周りの指導者から聞きました。小学生の頃は、ハーフウェーライン付近からのフリーキックはポドルスキが任され、かなりの確率でゴールを決めていたとか。
ドイツの育成は2000年から先進的になり、キックについても両足で蹴れなければならないという教えだった。でも、彼に対しては左足という才能を磨き上げることに集中したアドバイスをしていたそうなんです。
「お前は左足(のキック)という武器を持っているんだから、とにかくシュートを狙いなさい」とUー12の監督がアドバイスをし続け、Uー15の監督もそれを継続して育んだと言います。
ドイツではアタッキングサードに侵入してシュートを狙わない選手は監督やコーチに指摘を受けます。もちろん、闇雲にシュートを打つわけではありません。
ボールを回しながらアタッキングサードに運んだ瞬間にはシュートを狙うというギアが入っていないと檄が飛ぶ。常にどの選手もシュートが打てると感じた時はゴールを狙うという習慣が練習からセットされています。
だから、ドイツの子どもたちは試合でもみんなシュートを打ちたくて仕方がない。
そもそも日本でも子どもが最初に覚えるプレーってシュートだと思うんです。幼児を見ていれば分かりますよね。ゴールがあれば、全員がボールを持ってシュートを打っているはずです。
それがどうして打たなくなるのかと言えば、指導者の声が頭や心の中にインプットされるからとしか思えない。
例えば、シュートを打って外れたり、ディフェンスに当たったり、結果的に相手のボールになります。すると、『なぜ、そうなったのか?』という過程を思い出させ、指導者が原因追及をしてしまっている。
そうなれば、自然に子どももシュートを打たなくなり、思い切ってゴールを狙うことにブレーキがかかってしまいます。私も帰国した際、サッカースクールの練習見学をさせてもらいますが、よくそんな場面に遭遇します。
どこかでリスクにチャレンジしないとゴールが生まれないということをドイツ人だけでなく、ヨーロッパの人はみんな知っています。だから、どこかでリスクチャレンジをする。
相手陣内でボールを保持していれば、サイドの選手がオーバーラップしてフリーになる、中盤の選手がボールを持って前に押し上がるなど『シュートを狙うギア』を入れる瞬間を逃さないサッカー眼を持っています。
そこで勝負となれば、必ず逃げずにシュートまでもっていく。そういうことを試合だけでなく、練習から行動に起こせるようにみんな指導しています。
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 「JFA 第42回全日本U-12サッカー選手権大会」で輝いた8人の選手たち/ジュニサカMIP
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- すぐに「痛い」と言い出す息子…。