コラム

池上コーチの一語一得「GKをやらされたあげく、PK戦では交代させられた」

2014年08月05日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回はGKを任されている息子さんの親御さんからお悩みの質問です。

◎試合(試合で修正したい悩み)

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(質問者:小学6年生の保護者)

6年生の息子についてです。5年生の秋くらいから、DFからGKにコンバートされました。息子はフィールドにも出してくれるならという条件で引き受けました。でも、公式戦もあってか、練習試合でもほとんどGKばかりになっていました。それでもGKをしたことがいつかよい経験になるからと応援していました。
そして、今ではGKとして活躍もできるようになり、親としてもこれでよかったのかなと思ったりしていました。ところが先日、カップ戦の優勝のかかった試合でPKとなり、PKでは息子ではなくフィールドの子がGKをしました。正キーパーとしてコーチからも期待されていると思っていただけに、息子はショックだったようです。親もさすがに同じ気持ちです。
公式戦なら勝つためにというのも分からなくはないですが、カップ戦です。毎週のようにあるカップ戦です。息子は身体能力はそんなに高くはないですが、努力してトレセンの一次試験まではパスできるほどにまでなったんです(このときはDFとしてです)。6年生なので、今さらチームを変えることは難しいとはわかっておりますが、息子がサッカーを嫌いになりそうです。親はこんなときどうしたらいいですか?

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GKの重要性を見直して、
わが子を応援し続けよう

「どうして息子がGKなのか」「最後までGKなのか」と、子ども以上に親御さんがやきもきしている様子がみてとれます。

 今はGKかもしれませんが、フィールドでプレーしたいのならば中学でやればいいことです。親御さんは深刻にならず「GKはすごく大事なポジションだよ。今回PK戦のゴールは守れなかったけれど、また次頑張ればいいよ」と励ましてあげてください。ご自身が「それでもGKをしたことがいつかよい経験になるからと応援してきた」と書いてありますが、おっしゃる通りです。ぜひ、応援し続けてください。

 プロサッカーの歴史が浅くサッカー先進国でない日本では、フィールドプレーヤーに比べて、GKの地位が軽んじられているようです。少年サッカーでも、これまではあまり動けない子や足元の技術が遅れがちな子をGKにしてしまう傾向がありました。ですが、最近は自分から「キーパーをやりたい」という子がいたり、指導者側もGKの重要性を認識し始めています。先日のW杯ブラジル大会でドイツを優勝に導いた守護神ノイアーの活躍やメディアでの取り上げられ方を見ても、そのことがよくわかります。

 そもそも、PK戦での交代をそんなに深刻に受け止める必要はありません。W杯でオランダがPK勝ちした瞬間、ベンチを一番先に飛び出してキーパーに抱きついたのがPK戦の直前に交代させられた正GKだったのは、記憶に新しいかと思いまず。息子さんがそのようにふるまえることのほうが、大きな価値があると思いませんか?

 私なら、PK戦になったら「蹴る人は? ゴールを守る人はどうする?」と両方とも子どもたちに決めさせます。そのほうが「自分たちで決めたGK」「自分たちで決めたキッカー」というふうに全員で責任を負えるはずです。少なくとも、決めたコーチのせいにしたり、外した子を強く責めるような空気は出てこないでしょう。

池上コーチの一語一得

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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