ジュニアの現場から見るグラウンド問題の現実。サッカー少年たちの故郷(ふるさと)が無くなるとき

2014年12月19日

コラム

手作りのグラウンドが使えなくなってしまう日

「すぐそばに宮内庁の新浜鴨場を含めた『野鳥の楽園』があるんです。朝グラウンドに来ると鵜の吐き出した小魚がたくさん落ちていることも珍しくないんですよ(笑)」

 新浜フットボールクラブの遠山代表が、そう話しながらグラウンドを案内してくれた。周辺にはザリガニの釣れる側溝もあり、草むらからはバッタやトンボなどの昆虫が季節によって顔を出すという。

「グラウンドを作ったのは、今から15年前になります。それまで活動していた小学校も毎週使えるわけではありませんでしたので、活動場所を探していたんです。ここは背丈ほどの葦(あし)が覆うような遊休地だったのですが、『手入れをすれば何とかなるんじゃないか』ということで、所轄の市川市を説得して借用許可を得ることからはじめました。

 業者には一切頼らずに、それぞれの人脈や知識を活かして、自分たちで切り拓いていったんです。完成したときは『自分たちのグラウンドができた!』ということで嬉しかったものですよ」と遠山代表は当時を知る年配のOBと振り返る。

 雑草だらけだった空き地は、たくさんのサッカーを楽しむ人によって踏み固められ、やがてサッカーグラウンドへと昇華した。

 だが、少年サッカーの原風景のような、この「手作りのグラウンド」も近く閉鎖されてしまうというのだ。2015年の3月末日で借用期限が切れてしまう。

「開発計画が進行していて、もう更新することはできないようです。署名活動など様々な手は打ってみたのですが、残念ながら決定を覆すことはできませんでした」

 グラウンドの閉鎖は、新浜フットボールクラブだけではなく、近隣のクラブにも影響がでてくる。ジュニアの公式戦があるときは会場として提供されることも多いからだ。

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