岡崎慎司の成長物語。「どこにでもいるサッカー少年」が本気でプロを目指すまで
2018年06月28日
育成/環境今日、日本代表は2大会ぶりの決勝トーナメント進出を懸けてポーランドと対戦します。一部報道によれば岡崎慎司選手(宝塚ジュニアFC/宝塚ジュニアユース/滝川第二高校)が2トップの一角としてスタメンに抜擢されるとのこと。今回は、ポーランド戦でのゴールに期待がかかる岡崎選手のジュニア時代を振り返っていきます。
文●元川悦子 写真●Getty Images
※『僕らがサッカーボーイズだった頃 プロサッカー選手のジュニア時代』より一部転載
※この記事は、2014年5月27日に掲載されたものを再編集したものです。
ボールを蹴るときはずっと目を輝かせていた
ディエゴ・マラドーナが5人抜きや神の手ゴールで世界を震撼させた86年メキシコワールドカップが2カ月後にせまった86年4月。いずれ日本代表ストライカーとなる運命を背負う赤ん坊が兵庫県尼崎市で生を受けた。
岡崎弘晃・富美代さん夫妻の間に生まれた二人目の男の子は「慎司」と名づけられる。「長男の嵩弘のときもそうですけど、字のイメージがよかったんで」と母は恥ずかしそうに笑うが、「慎み深い子になってほしい」という願いもこめられているのだろう。
2歳上の嵩弘さんと慎司少年は仲がよく、どこへ行くのも一緒だった。両親が共働きだったこともあり、兄はいつも弟の面倒を見ていた。弟というのは、お兄ちゃんができることは何でも真似をしたがり、さらに兄に負けまいと挑んでくるものだ。
「(慎司も)ゲームをやっても勝つまでやめないし、ライバル意識をむき出しにしてくる弟でしたね」と嵩弘さんは笑う。
彼らが幼い頃、元テニス選手だった母が多忙な日々の合間を縫って、子どもたちにテニスを教えようとしたことがある。ふたりとも活発だったから、そこそこうまくなると期待したのだろう。だが、ラケットを持たせても真っ直ぐ打てない。彼らはすぐ飽きてしまい、練習も長続きしなかった。
「人に教えることがどれだけ難しいかがわかりました」と苦笑いする富美代さんは瞬く間に諦めた。父・弘晃さんも野球をやっていた経験から、ふたりにキャッチボールをさせたりした。が、どちらもあまり関心を示さず、転がっているボールを蹴るときの方がずっと目を輝かせていた。この時点で、子どもたちの選択は決まっていた。
岡崎兄弟が大好きなサッカーに本腰を入れはじめたのは、宝塚に引っ越してから。丸橋小学校に通っていた嵩弘さんが「サッカーを真剣にやりたい」と言い出し、父が「ここがいいんじゃないか」と調べてきたのが宝塚ジュニアFCだった。
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