ジュニアの現場から見るグラウンド問題の現実。サッカー少年たちの故郷(ふるさと)が無くなるとき
2014年12月19日
コラム「あそこに行けば、いつでもサッカーができる環境」をめざしたい
最後に、平成3年度の卒業生で、現在は2年生の指導をしている鈴木コーチに話を伺った。
「戻ってきたきっかけですか? ちょうど僕が大学受験でサッカーを離れているときに、運動不足の解消が目的で、顔を出すようになったんです。昔から知っている懐かしいコーチの顔があって、引き込まれるように自分もコーチになっていました(笑)。
こうして自分の育ったチームでサッカーに関わることができるのは、子どもの頃に教えてもらったコーチたちが元気で続けてくれていることが一番です。その次に、このグラウンドでしょうね。
ここの場所も大切なんです。うちはOBの大学生が中心の社会人チームもありますが、中学生や高校生のOBも遊びにきますよ。休日のこの時間に塩浜のグラウンドに行けばチームが活動しているのを知っていますからね」
なるほど、ここは少年時代を過ごすだけではなく、いくつになってもサッカーを楽しむことのできる環境であるわけだ。自分がプレーをしなくなったら、指導者としてこれまでの経験をクラブの次世代の子どもたちに還元することもできる。地域の人々が生涯にわたってサッカーを楽しむことのできる循環する環境が確立されていた。
「あそこに戻ればいつでもサッカーができる」
この手作りのグラウンドは、そんなサッカー少年の故郷(ふるさと)のような役割を長年担ってきたのではないだろうか。
2014年の日本サッカー界は、ワールドカップブラジル大会ではグループリーグで敗退し、U-17とU-20は年代別のワールドカップの出場を逃してしまったこともあり、育成年代の強化を見直す声も高まっている。たしかにトップレベルの強化は必要だ。けれども、そのためには安定した広い裾野がなければならない。
裾野は、何よりもサッカーを楽しみたい人々が形成していく。
「仲間とサッカーをするのが好き!」
「いくつになってもサッカーを続けていたい!」
そんな全国の町クラブの人たちだ。それだけに、地域の人々が生涯にわたってサッカーを楽しむことのできる「サッカー少年の故郷のようなグラウンド」こそ、本当は失ってはならないものなのではないかと改めて思うのだ。
>>ジュニサカ公式facebookはこちら
>>ジュニサカ公式Twitterはこちら
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 【AFC U17女子アジアカップ インドネシア2024】U-17日本女子代表メンバー発表!2024.04.15
- 「JFAナショナルトレセンU-12関西」が開催!2024.04.11
- 「東北トレセンU-13」が開催!2024.04.10
- 【AFC U23アジアカップ カタール2024】U-23日本代表メンバー発表!2024.04.08
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.22
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.22
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.22
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.22
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.22
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
ADVERTORIAL
ジュニアサッカー大会『2024'DREAM CUPサマー大会in河口湖』参加チーム募集中!! |
人気記事ランキング
- 自分よりも大きくて速い選手も1対1で抑える。内田篤人から学びたい守備時の姿勢【フィジカルのプレーモデル】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 低学年と高学年の食事量の違いは?/小学校5・6年生向けの夕食レシピ例
- 「俺、プロだったけど下手になってる」松井大輔が痛感。横浜FCスクール初指導に密着、子どもたちへの指導の狙いとは
- 三笘薫のドリブル・カットインの秘訣に迫る。1対1で相手を抜き去るための“沈む動き”とは【フィジカルのプレーモデル】
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- フォームの意識だけではキックは改善しない。キックの名手たちの共通点とは【フィジカルのプレーモデル】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 4ゴールのゲームは守備の練習にはならない!? 課題となるタスクから逆算し正しく制約を課す【スモールサイドゲーム】