両足でうまくボールを扱えるようになるには? 悲願のEURO制覇を果たしたポルトガル独自の選手育成法から学ぶ
2016年07月13日
コラムポルトガルならではのアプローチ方法
図2はポルトガルのジュニア年代でよく行う1対1のドリブルゲーム。この発展形で図3のようにゴールをふたつ設置し、必ず反対サイドのゴールにシュートするという制限を加えます。こうすることで左サイドでは左足、右サイドでは右足、しかも腰をひねっての力強いキックを自然に求められるようになります。
■1対1のドリブルゲーム
上部にいる選手がオフェンス側、下部にいる選手をディフェンス側とする。オフェンスはドリブルで中央まで、ディフェンスは走って中央までいき、オフェンス側はフェイントをして左右好きな方向にかわし、シュートする(途中で切り返して、反対側のゴールにいってもいい)。ディフェンスはボールを奪ったら反対側のゴールを攻める。
■ドリブルゲーム(発展)(クロスシュート)
図上部の選手と下部の選手で1対1を行い、シュートは必ず逆サイドのゴールを狙わなくてはならない。
これらは苦手な足を瞬時に使わないと得点できないトレーニングです。元々、子どもたちは勝ちたい、点を取りたい、目立ちたい、という強い欲求をもっており(ポルトガルではこの欲求の強さが半端ではありません)、そこを刺激してあげるトレーニングをオーガナイズしてあげれば、苦手な足であろうと子どもたちは、自然に「蹴れないといけないな」と感じるようになります。そして、ストリートサッカーでいえば上手な人を見て、こういうふうに蹴ればいいのかと真似をしはじめる、現在で言えばDVDでトッププレーヤーのキックを見て、真似をしてみようかなという考えに子どもたちを導いてやるのです。
ある国の格言で「飢えた人間には、釣った魚を与えるのではなく、釣り方を教えろ」という言葉があります。“正解を与えるのではなく、その答えにつながる方法を教えなさい、そうすればその一度きりでなく、何度でもその答えにたどりつくことができる”という意味です。この考え方は日本のサッカー界でもある程度浸透してきていると感じています。ただ、ポルトガルに来てすごく感じることは、釣り方を教える前に“飢え” させるところへのアプローチがしっかりしているという点です。
お腹が一杯の人間に魚の釣り方を上手に教えたところで、その人間は魚を釣りません。ポルトガルの指導では方法論の前に、『お腹を空かせる』という部分への刺激を重視しています。日本ではどう蹴るかの部分が先に来てしまいがち。指導書を読んでも軸足の位置から始まり、フォロースルーから重心の移動まで細かく解析し、説明してあります(この細かさは日本ならではの優れた部分ではあると思います)。ただ、それよりも大切なのは、なぜ苦手な足で蹴ることが必要か、その部分を子どもに感じさせられることです。
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- 「2023ナショナルトレセンU-13 関東」参加メンバー発表!
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは
- 「もも上げクランチ」でキック力を鍛える!/【サッカー専用】小学生のための体幹トレ
- 「JFA 第42回全日本U-12サッカー選手権大会」で輝いた8人の選手たち/ジュニサカMIP
- すぐに「痛い」と言い出す息子…。