結果だけを追い求めているのは果たして選手なのか、指導者なのか、組織なのか?【5月特集】
2018年05月23日
コラム部活とスポーツを混同させた考えを持つと指導者の考えがブレる
例えば、小学校時代はサッカーをクラブで楽しんでいたのに、中学校に上がるとほとんどの子が部活に入らなければならなくなる。それはジュニアに比べると、ジュニアユースを持つクラブは格段に減るからだ。サッカーを続ける選択肢はほとんどの選手にとって部活しかない。
でも、急に学校という教育機関の中でスポーツをやらなければいけない中で、いきなり上下関係などの学校機関のルールが割り込んでくる。すると、子どもたちの立場からすればサッカーにはないルールが目の前に現れるというわけだ。さらには指導者も先生になるから人間教育色が強くなる。それ自体を否定しているわけではないが、ミスの理由を精神的なことを要因にしている先生=指導者が多くいるから、誤解のないようにそこは補足として記しておく。
その中でも象徴的なのが「中学校から高校」、「高校から大学」へと進学する時に選手たちを評価する内申点だ。それは受け入れる側独自の採点ルールだ。数カ月前に中体連サッカー専門部に取材した時、その点についてストレートに質問をぶつけてみた。
筆者「関東大会、全国大会に出場すると内申点がプラスされるという話を聞いたことがあるのですが、本当ですか?」
中体連「公立中学校の内申点では、そのようなルールは一切ありません。ただ、高校側がどのように判断されるかはわかりません」
前述した賢い(?)大人の無難な答えにも通ずるところだが、中体連の立場で答えるなら正解ではあるが、サッカー界全体のため、選手のためだと俯瞰した場合にこの答えは正解なのかは疑問が残る。
今回の日大アメフト部の反則行為問題にもつながるが、この問題は「部活とスポーツを混同させてしまっている」ことが深く関与している。そもそもスポーツは「遊戯」、つまり「遊び」であるはずなのに教育機関の中に組み込んでしまうと、どうしても同じ土壌では語ることができない、選手にとっての不純物がたくさん混じり合ってしまう。そこを認識していなければ指導者が物事の判断基準を見失いがちになる。その環境こそがこのような問題を引き起こす根元にあると、私は思う。
だからこそサッカーのジュニア指導者は「楽しむ」ことと「勝つ」ことが相反しないことを示す使命を背負っていることを認識しなければならない。それは教育機関の中にクラブが存在しているわけではないからだ。6年生になると、サッカー進路と騒ぎ立て「お受験」が始まるが、子どもが本当に望んでいることなのか。客観的に見ていると、一番意識しているのは保護者だったり、指導者だったりする。その時点で大人の奥底にある意識の中には、スポーツと教育機関とが混同し合っている。まず、そこを意識改革しなければ「プレイヤーズ・ファースト」は実行に移すことはできない。
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