池上コーチの一語一得「勝利にこだわったメンバー分けに保護者からクレーム」

2013年12月17日

育成を考える

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回はジュニアを指導する高校生コーチからの質問が届きました。

◎試合(試合で修正したい悩み)

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(質問者:小学3年生と6年生の指導者)

小学3年生と6年生のメインコーチをやっています。僕自身は高校生3年生です。僕は子どもたちの試合を見てうまくなっているとすごく嬉しいです。
今回、3年生の県大会を初めて勝つことにこだわって、メンバーをはっきり分けて試合をやりました。勝つことにこだわった理由は、子どもたちには、県大会は今までの大会と違うってことをわかってほしくてやりました。普段は大会でもみんなにが出られるようにやっています。今回の県大会は勝つことにこだわりました。
しかし、保護者の方々には、このメンバーの分け方はおかしいと言われました。それでもチームの先輩コーチ、監督、代表にはお前が決めたことだから自信持ってやれと言われました。僕は本当にこれで良かったのか心配です。ぜひアドバイスを教えてください。

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子どもにとってはどの大会も価値は同じ。
全員出場にこだわろう

 すぐに飛んで行って、高校3年生の相談者と話しがしたいくらいです。
 まず、保護者にとって何が受け入れがたかったのかを考えてみましょう。

 私が思うに、それは、いつもの大会のように、子どもたち全員が出場できなかったからではないでしょうか。そこが問題だったのです。

「3年生の県大会を初めて勝つことにこだわって、メンバーをはっきり分けて試合をやりました」「県大会は今までの大会と違うってことをわかってほしくて」とあります。

 だとしたら、大会前に保護者にそのことを説明したほうが良かったかもしれません。

 ただし、どのように説明しますか?「県大会はほかの試合と違って勝利にこだわる」という主旨を、果たして子どもや親御さんに納得させられるでしょうか。私自身、なぜ県大会がほかと違うのかが理解できません。

 大人が「この大会は勝ちたいから、うまい子だけしか出さない」と決めたとします。でも、子どもたちにとって、どんな大会も試合も同じものです。高校3年生でもコーチをしている以上、そこを理解しなくてはいけません。

 例えば、控えの子がこう思うでしょうか?
「今回は県大会だから、僕は下手だから上手い人だけでサッカーをして勝ってくれればそれでいい」と。

 いかがでしょうか?
 子どもは全員、試合に出てサッカーをしたいはずです。技術や力は違うけれど、毎日真面目に練習に出て一生懸命やっているのなら、これまで通り、県大会も全員試合に出すべきだったと私は思います。

 今後は、ぜひ全員出場させることにこだわってください。「うまくなっているとすごく嬉しい」という感覚をチーム全員の子どもたちに持てたとしたら、どんな試合でも全員出場を貫けるのではないでしょうか。

 また、相談者のチームの先輩コーチ、監督や代表の方は、高校3年生の彼に対して少し冷たすぎる気がします。

「お前が決めたことだから自信持ってやれ」はかわいそうではありませんか?コーチの経験を積んだ者として、保護者にどう説明するか、実際はどうしたらいいのかをきちんとスタッフ間で話し合って、この若いコーチにアドバイスできたらよかったですね。

 相談者の方がいつもは全員出場させているということは、このクラブ自体が同じ価値観で育成しているのでしょう。保護者が今回「おかしい」と声を上げたことからもわかります。そのことは大変評価できることです。

 せっかく良いことをしているのですから、ぜひスタッフ全員で共有してほしいと思います。

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