指導者と子どもの気持ちがズレるとき その「想い」一方通行になっていませんか?【後編】

2013年12月18日

コラム

グラウンドは指導者も育つ場所

 指導者の願いと子どもの気持ちがうまく噛み合ないと、指導者は叱ってしまいます。怒ってしまいます。ときには、罰を与えることもあるかもしれません。指導者は当然すべきことをしただけと思う場合もあります。

 けれども、このようなことばかりをくり返していても、指導者も子どももスポーツが楽しくないはずですし、特に子どもにとっては過酷な状況でしかありません。

 こうした状況を打開するためには、まず、子どもと交渉してみることです。さまざまな動機を持つ子どもと同じテーブルで相談してみることです。例えば、「今日の2試合が終わったら、みんなでバーベキューをするから、試合はがんばることができるか」「みんなが好きなミニゲームの前に、あと2つの練習メニューをするぞ、いいか?」と提案して、子どもがどう思うか、どう行動するかを観察してみることが必要です。

 私が小学生を指導していた際には、「この1試合はジャンケンでポジションを決めたいんやけど、どう?」と言うと、技能レベルの低い子どもは大喜びです。また、こういうときは、どの子どもがどのポジションを希望しているかを把握できる絶好のチャンスでもありました。

 こうした方法を試してみて驚いたことは、子どもは自分のことも含め、どの子どもがどのポジションに適しているかを的確に知っているということでした。指導者が考えたフォーメーションよりも名案を出してくることもあります。

 子どもがスポーツをしていく中で、いろいろ感じ、いろいろ悩み、いろいろ対応し、それらが彼らの気持ちに添うものであれば、そのスポーツのやり方は子どもの大きな力となって、子どもを育てるはずです。スポーツは良い子を育てることもあれば、悪い子を育てることもあります。つまりはやり方次第なのです。

 また、子どもが育つ場にするためには、指導者もいろいろと模索する必要があります。そうすることで、指導者としての育ちへとつながっていきます。
 スポーツの場が、子どもも指導者も育つ場となるようにしていきたいものです。


プロフィール
奥田援史
滋賀大学教育学部准教授。運動心理学が専門で、双生児研究や早期教育について調査をしている。サッカーは、小学1年から始め、関西高校ユース代表になったことがある。スポーツ少年団のコーチもしたことがある。現在、滋賀大学教育学部サッカー部部長。

 


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